旅 日 記


みちのく6泊七日の旅


牡鹿半島 松島 2002年10月12日(土)


 車には見事な夜露。と言うことは空が晴れ、大変冷え込んだと言うことである。これ幸い・・・と拭き取ると車の汚れも取れ、洗車代が助かったじゃん。さあ、いざ出発だ。

 昨夜の夕食でお世話になった蛸の仲居さんが我々を目ざとく見つけ、近付いてわざわざお見送り。天気も上々、手にしたハンドルも軽い。これで心置きなく帰途につくことが出来る。


 すぐ近くの海の市へ。だがすでにお土産も腹いっぱい、いかに買い物好きのばあさんでも特に買いたいものはないそうな。

 岩井崎の看板を見て左折。波は穏やかだが、岩の間から大きな音とともに高く打ちあがっている波飛沫。これが潮吹き岩か・・・。荒れたときにはどこまで上がるの?

 朝日にキラキラと輝く海がことのほか美しい。

 良く手入れされた芝生になお鎌を手に草刈をしているおじさんが、

 「もう帰るのかい。夏は涼しいからまたおいで・・・。」

と優しく声をかけて下さった。


 アゴヒゲアザラシのタマちゃんフィーバーにあやかり、ウタちゃんで有名になった歌津町を過ぎ、志津川町から女川町へ。地図ではリアスブルーラインとあるが、やはり山の中を走ることが多く、時間ばかりがかかり、なかなか海を眺めながらのドライブが出来ない。

 原子力発電所があることでその名前だけは知っていた女川町はやはり漁業の町らしく、港には海産物の買出しツアーの観光バスが並び、車や人で大混雑。そうか、今日は土曜日。それもそのはず、秋刀魚10匹250円、小鯵は一箱300円など信じられないほど安い。魚の種類も多く、飛ぶように売れていた。


 細く突き出た牡鹿半島の尾根を走る牡鹿コバルトラインへも向かったが、三箇所ほどの展望台以外はほとんど海が見えない。その上雲が多く、モヤがかかったような海では魅力半減。突端の御番所公園に着き、ようやく目の前に青い海を隔てて大きな金華山が現れた。少しばかり覗きだした青空から降り注ぐ優しい光を浴び、これでどうにかコバルトラインと言う立派な名前の面目は立ったかな?

 石巻市で昼食にしよう。だが、さすがに今日は食欲がない。今朝もバイキングの朝食を食べすぎたようだ。ならばハンバーガーで済ましちゃえ〜。


 この旅最後の目的地、松島へ。40年前に訪れたことがある私には取り立てて行きたい所でもないが、初めてのカミさんには日本三景というネームバリューはやはり魅力らしい。松島見物は遊覧船に乗るか、大高森または富山へ登り上から眺めるかだが、登るには駐車場から20〜30分歩かなければならず、痛いと言っていた私のひざを気遣い、遊覧船を選択。青海島でのこともあり、北山崎では勿論、穏やかな十和田湖でさえ船には乗ろうとはしなかったのに・・・。

 土曜日の午後の松島はさすがに人が多い。所要時間50分の松島巡り観光船仁王丸は満員の乗客を乗せ出港。すぐにカモメがついてくる。カモメたちも良くわかっているらしく、乗客がエビセンなどをまくと瞬く間に大群に増え、スーパーキャッチの連続に歓声が上がる。

 我々も後部甲板の最後部に陣取り、おやつに持ってきた煎餅を持ち込み、すごいスピードで手から直接くわえていく姿に大はしゃぎ。まるで小さな子供である。中には不器用なカモメもいるらしく、指先をつつかれた。オイ、痛いじゃん。

 後ろにいた3〜4歳くらいの可愛い男の子。前に出してやると小さな手を差し出しているが、あまりにも低すぎて無視されている。その子はこれ幸いと自分で食べ始めてしまった。何のことはない。この子が一番利口じゃん。今度は抱き上げ、目的を達成させてあげると可愛い笑顔。少しばかり、この年になってもまだ経験のないおじいさん気分?

 船内放送では名所案内をしているが、周りには聞いている人など無く、50分間の大半はカモメと遊んでしまった。この船は何が目的の船だったの?

 ずらりと並んだ土産店などを冷やかして歩き、五大堂へお参りをして車に戻るが、まだ3時過ぎである。

 さてどうする? 塩釜でおいしいお寿司の夕食の予定だが、瑞巌寺を含め、特に行きたいところも無い。それよりカミさんは明後日からの仕事のこともあり、明日はたまっている家事が待っている。ならば少しでも早く帰ろうではないか。

 最後に松島さかな市場に寄ってみるが主な店は3時で終了。今晩の豪華であったはずのお寿司の夕食が一つだけ残っていた寿司折りに変身。二人でさびしく晩餐? まあ、いいっか。


 松島海岸インターチェンジから三陸自動車道、仙台南部道路、東北自動車道、磐越自動車道、北陸自動車道、名神高速、京滋バイパス、京奈和自動車道・・・と奈良まで全て有料道路を利用。磐越自動車道の阿賀野川サービスエリアで夕食。随所で合わせて4時間ほど休憩と仮眠。全走行距離3300Kmあまりを無事走り終え、13日の日曜日、朝8時に帰り着いた。


 振り返ればアッと言う間の一週間であった。今は多少の疲れはあるものの、道中何事も無かったのはなによりのこと。東北の美しい風景や素晴らしい温泉、ほっこりと心温まる雰囲気に触れ、それ以上に出会った人々の人情溢れる暖かさが心に残り、この先こんなに楽しくて素晴らしい旅はもう出来ないかもしれない。

 カミさんなどはあわびや冷麺の味が忘れられず、すぐにでも食べに行こうと言い、買って帰ったリンゴジュース、アップルパイやイカ飯、漬物などが無くなるたびに、

 「もっと買うてきたら良かったわ。もう一回買いに行こ。」

などと言い出す始末。

 心配していた体重は見事に3Kgも増え、誰かさんの口癖ではないが、明日からダイエット・・・のやり直しである。


 今回行けなかった津軽半島、下北半島、青森市などにも魅力があり、真っ赤に染まった十和田湖や奥入瀬渓流、抱返り渓谷などの紅葉もぜひ一度見てみたいものだが・・・。

 また訪れる機会があることを願って・・・。 ・・・、・・・。


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