旅 日 記
渡り鳥と砂の芸術 2006年11月29日(水)
先週の話。今年最後の紅葉見物に兵庫県氷上町の高源寺へ、そして京都府の伊根まで足をのばし、お昼に寒ブリのしゃぶしゃぶと言う予定だったのだが、ばあさんの体調が思わしくなく断念した。
そして昨日のこと。
「明日、どっかへ行こ。」
「高源寺の紅葉はもう終わってるで〜。今やったら京都市内か滋賀県の湖東三山やろか。それとも本場の寒ブリか?」
伊根の寒ブリは養殖ものだそうな。ならばやはり氷見か?
「氷見は遠いし京都は人が多いやろ。それよりオシドリとコハクチョウを見てみたい。鳥取砂丘のライトアップされた像も見てみたいし、鳥取へ行こ。来週から寒むなるそうやし、最後のチャンスかも知れんし。」
日野町のオシドリは以前から一度見てみたいと言っていたし、各地に飛来しているコハクチョウと鳥取砂丘の砂の像はここ最近、新聞やテレビのニュースでよく報道され、気になっていたようだ。
朝の7時過ぎ、JR根雨駅近く、おしどりの里の観察小屋に到着。誰もいない。入り口に立てかけてある小さな柵を動かし、中へ入らせていただく。薄暗い室内には三脚に固定されたスコープが並び、小さな窓が設けられている。
その窓を開けてびっくり。目の前の川にいるはいるは、元気にはしゃぎまわっているオシドリたち、少数派なれど負けじとその存在感を放っているのがマガモたち、その双方が混ざり合いひしめき合い、とても賑やかである。だがやはり主役はオスのオシドリだろう。
この観察小屋はボランティアのグループが運営されているそうな。餌を与えて今ではここまで多くなり、名物となったそうな。
突然電車が近付く音に鳥たちが一斉に飛び立った。すごい迫力である。だがあまりにも突然のことでカメラが間に合わない。よ〜し次は・・・待つことしばし。なのに今度は飛ばないじゃん。どうして? いわゆるローカル線のこと、そんなに頻繁には通らず逃がしたチャンスは大きかったようだ。
中州でほほえましくもいたわりあっているようなカップル、これぞまことのオシドリ夫婦?
次は米子水鳥公園。この近辺には何度も訪れこの公園のことも知っていたが渡り鳥となるとやはり冬場の風物詩だろ? ゆえに訪れたのは今日が始めてのことになる。
間もなく到着だと言う9時30分ごろ、大空を飛んで行く鳥の大群を発見。後で聞けばコハクチョウが飛び立ったのだそうな。
これはとても立派な建物じゃん。大きな硝子越しに池に浮かぶ鳥たちを観察できる明るい雰囲気の中、早速係りの人が親切に説明を始めてくれた。スコープをセットしてくれ、珍しい鳥だと教えてくれる。
私は鳥などにあまり興味はないが、ばあさんはさかんに質問をしてその答に感心している。そんなに好きだったの? 長年連れ添ってきたがこれは知らなかった。
コハクチョウの体長は1mくらいなのに重さは7Kg〜10Kgもあるそうな。良くそれで水に浮かんだり空を飛べるものである。
水辺に設けられている桟橋では大きな三脚と立派な望遠レンズを装着したカメラを覗き込んでいる人がいる。いつものことなれど、その二人の中へデジカメで割り込むとはなんと大胆なことよ。まだ居残っている十数羽のコハクチョウを狙ってみたが、やはり小さなデジカメ、いやヘボチョコカメラマンには手におえるものではない。
時々顔を覗かせてくれるお日様の光が水面を輝かせ、鳥たちものんびり、いや、なんだか眠っているようだ。ちなみにこの桟橋からだけなら入場料は不要だそうな。
時間は10時を少しまわったところ。さてどうする? 鳥取砂丘はライトアップされた夜のことだから、それまで時間はたっぷりとある。
皆生温泉で一風呂浴びる? それとも安来まで足をのばして足立美術館の紅葉見物?
「今日の夕食はお寿司をお腹一杯食べたいねん。せやから早めにお昼を食べよ。」
そこで大山道路を少し登ったところの岡成展望パーキングエリアへ。朝も早かったことだし、まあいいかな? 今回はガスバーナーを持参している。お湯を沸かしカップ麺とおにぎり、そしてデザートにみかんと温かいコーヒー、これぞフルコース?
岡成池の周りでは早くも初冬の雰囲気で色あせた紅葉がうら寂しく、そよ吹く風の音以外何も聞こえない。
ところが・・・。大山も雲におおわれていると言うのにばあさん、大山まきばみるくの里へソフトクリームを食べに行くと言い出した。ただそれだけの目的で?
大山道路でも落ち葉が舞っていたが、到着した大山まきばみるくの里では曇り空ながら大きな大山が姿を現してくれた。弓ヶ浜が遠くに見えている。
ばあさん、ソフトクリームだけではなしになんやかんやとお買い物。なに? お会計が2400円? せっかくおにぎり持参で昼食代を節約したと言うのに、これでは何にもならないじゃん。
さて、次はどこへ行く? なに? 大山環状道路で蒜山高原? そんなところ、もう紅葉もなにも無いだろ? なに? 関金温泉で一風呂浴びる? それなら話は別・・・かな?
あれだけ美しかった鍵掛峠やブナ林も雪こそ無いもののすでに冬の佇まいである。全く葉をつけていないブナの木が余計にうら寂しく感じさせるのだろう。そんな雰囲気の中では言葉を交わす気にもならず・・・静かに静かに・・・ただただ車を転がす。出会う車は極端に少ない。
蒜山高原でもすでに牛の姿は見られず、枯葉がわびしく舞っていた。
なに? 今度は蒜山ジャージーランド?
「そんなソフトクリームばっかり食べてたら、また太るで〜。」
「それもそやな〜。ほな今度はプリンにしょうか?」
そんなんいっしょやろ〜・・・と突っ込みを入れたいところだが・・・そこはじっと我慢。全く懲りないお方だから何を言っても効き目は無い?
関金温泉の日帰り温泉施設、湯命館で入浴。さらりとしたお湯だが良く温まる。なに? 単純放射能泉? 放射能? おいおい、大丈夫なの?
畳敷きの休憩所で一眠り・・・のはずが、おば様方のおしゃべりで賑やかなこと賑やかなこと。これではどこでも眠れる私でも眠れない。
今日はこんなに穏やかで暖かな日和なのに、そこはさすがこの時期の日本海。龍見台から眺めると空一面どす黒い雲が広がり、そして砂浜には大きな白波が打ち寄せていた。
4時30分、鳥取砂丘に到着。雲のあいだから差し込む少しばかりの夕日が道路際の砂丘を赤く染め、素晴らしい景観を演出してくれている。
砂丘とは道路を隔てた反対側に設けられている砂の美術館は、砂像彫刻では著名な内外二人のお方が制作されたそうな。
細やかな部分まで表現されていて、これは見事な芸術作品ではないか。とは言えそこはなにぶん砂のこと。崩れやすく大変な作業だったのだろう。事実、壊れたものや壊れかけているものもあり、その苦労は十分に感じられる。
徐々に深くて濃くなってきた青空が夜のとばりにかき消され、やがて5時、点灯された明かりが見事な作品を浮かび上がらせた。明るい間に見たものとは全く別物のようで、これはなかなか良い演出ではないか。しかし日が落ちるとさすがに寒く感じる。
すし若鳥取店でお寿司の夕食後、佐用インターチェンジから中国道を利用して帰途につく。11時無事帰着。全走行距離 749Km。少し疲れたようだ。やはり歳かな?
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