旅 日 記
霧ヶ峰から乗鞍岳へ
乗鞍岳 2007年7月27日(金)
翌朝、窓を開けると雲一つない真っ青な空が広がり、空気がとてもさわやかだ。それもそのはず、ここは海抜1400mだそうな。この天気、さて、どうする?
ばあさんの首の状態も少しは良くなった? 少なくとも体調は良さそうだ。ならばどこかでハイキング? 上高地? 新穂高ロープウェーから西穂高独標、いや丸山まで? それとも乗鞍岳? ばあさんはもう一度乗鞍のお花畑を見たいそうな。
そこで朝湯を浴び7時30分からの朝食を済ませて飛び出した。大きな森の緑が朝日を浴び、輝いている。
穂高と焼岳を見ようと今回も安房峠へ向かう。いや、これは安房トンネルの通行料金700円をケチった訳ではない。確かに距離も短く、時間はかからないが、ここまで来て穂高の雄姿を見ない手はないだろ?
青空に聳え立つ穂高の雄姿に大満足。そしてかすかに噴煙を吹き上げている赤茶けた焼岳と青い空とのコントラストにうっとり。安房峠からはこれから向かう大きな姿の乗鞍岳が早くおいでと呼んでくれている。
寄り道したから? 平湯バスターミナルへの到着が9時10分になってしまった。朴の木平10時発でも良いが、急げば9時30分のバスに間に合うかと慌てて昼食用のおにぎりとパンを購入。何とかぎりぎり間に合った。
乗鞍岳への乗鞍スカイラインはマイカーが規制され、バスを利用しなければならない。平湯発でも良いが、駐車料金が500円かかる。それが朴の木平なら無料で停められ、運賃の往復2000円は変らない。
高度が上がると、笠岳、槍、穂高の峰々が見えてきた。そして遠くには雲の上に浮かぶ白山も。澄み渡る青空はより濃く見える。群青色とはこう言う色を言うのか?
間もなく森林限界に達し、高い木がハイマツに変わり、広い草原が現れると間もなく畳平に到着。
空気がひんやりしている。標高2702m。気温16度。慌てて長袖のブラウスを羽織る。さてどうする? お花畑だけではもったいない。ならば魔王岳? それとも剣が峰まで登る? ばあさん、とりあえず剣が峰を目指すと言う。ならば行けるところまで行って無理なら引き返すか?
まずは一周30分のお花畑へ向う。しかし下って行くと北アルプスの方角の上空に少し雲がわいてきた。ならば先に槍、穂高を見に行くか? と急きょ予定変更。
目の前の急な登山道を駆け上がる。これがかなりきつい。約20分でようやくなだらかな登山道へ出たが、これなら畳平から続く平坦な道を来れば楽だったようだ。目指す剣が峰も見えている。
しかし、6年前に来たときには二人ともこれだけ歩けなかった。お花畑の入り口でギブアップ。それに比べれば足も強くなり、元気になったものである。
そのご褒美だろうか、雲はまだアルプスの峰々を隠さずに美しい姿を見せてくれている。また雪解けの水が美しい不消ヶ池・・・。
少し休憩して肩の小屋を目指す。やがて剣が峰がより大きくなり大雪渓が見えてきた。たくさんのスキーヤーが夏スキーを楽しんでいる。
だが、ばあさんが少しお疲れのご様子。肩の小屋までは行けても、その先の急な登りは無理かも知れない。ならばここで引き返すのが賢明だろう。
富士見岳へ10分との標識を見て登り始める。少し急なガレ場だがゆっくりゆっくり。そのガレ場に咲く可憐な花に背中を押され、ばあさんも一歩一歩、歩を進め、やがて頂上に到着。2816mとある。と言うことはばあさんの登山、最高峰。さわやかな風が心地良い。
だが意地悪な雲が槍、穂高を隠し始めている。少し遅かったようだ。下ではくっきりと見えていたから、まあ、いいっか。
高いところから見下ろせば下で見たときより見る角度だろうか、色が変わって見え、また印象が異なる不消ヶ池。そしてその池に今にも滑り落ちそうな雪渓が白く輝いている。少し右を見れば鶴ヶ池と畳平の駐車場、今からゆくお花畑の木道、また南の方角を見れば乗鞍高原、少し登っただけでこの360度の大パノラマである。
空の青、真っ白な雪、緑豊かな山、そして美しい紺碧の水を湛えた静かな池。初体験のばあさん、少しばかり興奮気味? 時間は11時30分。ならばお昼にしますか? この景色をおかずに食べたおにぎり。これはたまらない。 ワイド写真
ごろごろと転がりそうな浮石に気を付けながら、また滑りやすい急斜面を怖がるばあさんに手を差し伸べ足場を支持しながら、ゆっくりゆっくりと下り、鶴ヶ池のほとりを歩き、ようやく到着した畳平の食堂でティータイム。もちろんばあさんはソフトクリームも。
さて、改めてお花畑を楽しむとしよう。
設置された一周30分の木道を可憐に咲くハクサンイチゲやイワツメグサの群落、そしてイワカガミ、クロユリなどが咲くお花畑をゆっくりゆっくりと巡る。なに? 1時間20分もかかった? 狭い木道にたくさんの人、いかにもこれでは迷惑千番? でも皆さんもお急ぎではなさそうじゃん。朝の9時ごろには雷鳥も見られたそうな。 旅のアルバム 乗鞍畳平のお花畑
後ろ髪を惹かれる思いで2時30分発のバスに乗り込み帰途に着く。車窓からは雲が取り払われた穂高の姿。飛騨清見インターチェンジから高速道路を利用。9時前に帰着。全走行距離、840Km。
さて、ばあさんの首だが、
「温泉に入ってだいぶ良うなってたのに、帰ってからのこの暑さやろ。また元に戻ってしもたわ。」
「そんなん、知らんがな。」
「もういっぺん、行きたいな〜。」
どうやら山の魅力にはまってしまったようだ。16〜7度の世界だから当然と言えば当然だろうか。
「せやけどあんな晴れるんは珍しことやで。」
ところで、長袖でちょうど良かったのだが、あまりにも気持ちが良かったものだから半袖のTシャツで歩いた。これがとてもさわやかで最高じゃん。
「焼けるで〜。」
「わかってる。せやけどちょっとは焼けたほうがえやろ。夏やしな。」
それが甘かった。これはほとんど火傷? 首と腕が真っ赤になってしまった。何十年ぶりかの夏山で山の過ごし方も忘れていたようだ。
ばあさん一言、
「アホちゃう?」
登山初心者の我が家のおばはんに言われているようでは・・・。歳と共にヤキが回ったようで、なんとも情け無い話であり、穴があったら入りたい? トホホ・・・。
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