旅 日 記
みちのく桜前線追っかけ旅
八津鎌足かたくり群生の郷 2009年4月21日(火)
朝起きるなり、
「やっぱり帰るわ。夕べは眠れんかった。」
前回の湿疹は痛みも疼きもなかったのに昨夜は疼いたそうだ。その上湿疹部分を押さえると痛いと言う。それがもし血管炎の症状なら一大事。とにかく急いで帰り支度をしなくっちゃ〜。
時間は6時を過ぎたところ。天気予報通り昨夜から風雨が激しく、今もかなりの雨が降っている。フロントの昨夜の夜勤当番だった若いスタッフにその旨を伝えたところ、金庫などがあくのは8時になると言う。この露天風呂水沢温泉では全て前金で支払っているから返金を受けなければならない。日帰り客で出入りが激しいから前金と言うのも頷ける。
ならばと最後の温泉へ。そして荷物をまとめて出発準備完了。だがまだ7時30分。そこで1階の休憩室でゆっくりと朝のコーヒーをいただくことにした。
ところが、
「そんなに急ぐこともないで〜。体は元気やし、抑えへんかったら痛みはないし、疼きも気がまぎれてたらあまり感じへんしな。とりあえず心配やから診察してもらいたいだけやねん。」
そう言われてもね〜。その上、
「まだ海鮮丼を食べてへん。どっかで食べたいねん。」
え〜、大丈夫なの?
「高速料金が高こつくな〜。深夜割引でもええけど。」
え〜、それってマジ?
何だか肩透かしを食らったようだ。それならもう少し頑張れるのでは? とは言えあと弘前城だけだけど・・・。弘前城は一度訪れているからその雰囲気は想像がつくし、まあ、いいっか。それよりも無理をしてまで弘前に行っても気持ちが落ち着かないだろう。
ならばどうする? 当初は帰り、酒田へ回って海鮮丼の昼食の予定ではあった。そして新潟の中条インターチェンジから高速道路を利用し、午後10時〜11時に帰り着くつもりではいたが・・・。そのコースをゆっくりと走って深夜割引に引っ掛けるか?
ばあさん、それで良いと言う。ならばゆっくりと出発しても良い? 結局出発したのは8時半を回っていた。
何だか朝からバタバタさせてしまってまことに申し訳ない。スタッフの皆さん、ご迷惑をかけました。ごめんなさい。
山のはちみつ屋へ寄ってみると電気がついている。9時からの開店に備えてお掃除中ながら店内へ入らせていただき、またまたお買い物。
「こないだ行けへんかったかたくりの花を見たい。遠いんか?」
おいおい、これじゃ〜いつもといっしょじゃん。
雨が降りしきる中到着した八津鎌足かたくり群生の郷は静かな山の中の集落。一人300円の入園料を払い、車に乗ったまま一方通行の狭い道路を登ってゆく。ところどころカタクリの花が咲いているが、雨のせいもありあまり目立たない。カタクリはお日様が当たると花を大きく開くそうだ。
やがて群生地に到着すると一面カタクリの花。これはすごい。こんなにたくさんの群生地は見たことがない。ポスターで見た写真に、嘘だろ?・・・と思っていたが、これは事実だったのだ。もっともこの雨、花が開いているものはなく、しょんぼりと見栄えはしないけれど・・・。これが晴れた日にはどんなにか美しかろう。
ついでだからと角館の武家屋敷と街中をドライブ。雨の中結構な人が歩いている。枝垂桜も何だか寂しそうにうなだれているようだ。昨日お世話になった車夫さんは? だが人力車が見当たらない。雨の中では営業をしないのかな?
あとはひたすら国道を走る。羽後本荘から国道7号線で酒田へ向かい、「海鮮どんやとびしま」に到着したのは1時を過ぎていた。おいしくて安い海鮮丼に大満足のばあさん。これですっきりした? 食事代二人で2310円。
笹川の流れの標識を見て国道345号線へ。雨上がりの日本海を右に見ながらのドライブだが青い海は見られない。やがて中条インターチェンジから高速道路へ。12時になるのを待って敦賀インターチェンジで高速道路を離れ、帰り着いたのは深夜の2時半になっていた。
10泊11日、全走行距離3804Kmの旅であった。予定より5日から一週間ほど短くなったが、みちのくのたくさんの花も見られたし、雪の回廊も楽しめたし、温泉三昧の毎日でもあったし、これほど贅沢な旅をさせてもらっていいのだろうか。弘前城の桜は宿題として残ったが、また来年の楽しみに取っておいたと考えればそれもまた良いではないか。
そんなことよりばあさんが大事に至らず無事帰り着けたのは何よりのこと。
さてこの先、いつまでこんな旅ができるだろうか。いや、それを楽しみに頑張って闘病し、元気になってほしいとつくづく感じている。
PS
翌22日、早速病院へ。血液検査の結果はあまり変わらず。ただ出発する前の診察で一部の薬を変えたのが原因の薬アレルギーではないかとのことで薬を元に戻したところ、2日ほどで湿疹と痛みはほぼ完治。なんとお騒がせなこと・・・。
これなら最後までいれば良かった・・・とばあさん。それに輪をかけたように行く予定だった24日の金曜日、晴れ上がった弘前城の満開の桜をニュースで見たものだから余計に悔しい思いをしていたようだ。
やはり温泉の効果は出ていたようで膝の痛みが随分と楽になり、体のしびれも薄れていたようだが、帰って10日もたつとまた元に戻ったと嘆き、また行きたい・・・とうるさいこと、うるさいこと。
それにしてもみちのくの冬枯れの木々とたくさんの雪を見てきた者にとっては奈良の新緑がとてもまぶしく感じている。そう考えると、やはり日本はも広いね〜。
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