旅 日 記
山口の旅
錦帯橋 秋芳洞 2001年4月3日(火)
あちらこちらで桜の花が満開である。以前からカミさんが秋芳洞に行ってみたい・・・と言っていたことでもあり、今回は花見をかねて山口へのドライブとなった。
またまた深夜出発。国道2号線、そして昨年無料開放された加古川、姫路、太子竜野の各バイパスを走り、竜野西インターチェンジからは山陽自動車道を利用、広島を過ぎたあたりで夜が白み始めた。宮島サービスエリアには見晴らしの良い公園が設けられ、たくさんの桜が満開。眠気も吹っ飛び、なんだか元気をもらえたようだ。
岩国で高速道路を離れ、雨に濡れた国道で錦帯橋へ向かう。変わりやすい天気らしく、ところどころで雨が降っていた。だが今はやんでいる。これから良くなるとの予報に一安心。
早朝の静かな吉香公園をゆっくりと散歩する。ご苦労なことだが、早くから箒を持っている人以外は人影がない。雨上がりのせいか、しっとりと落ち着いた空気が心地よい。たくさんの桜はすべて満開。この上ない花を愛でながらの散歩に気分も上々。
錦川の河原も桜が溢れている。だが、往復した錦帯橋から見上げた岩国城は先日の地震の影響で見学は出来ないそうな。そう言えば、随所にまだ青いビニールシートがかけられた屋根が見られる。
再び高速道路を美祢まで利用して秋芳洞へ。私の母は美祢で生まれた。だから私も若いころから山口にはそれなりの興味は持っており、20歳のころ、母のおじさんを訪ねた折に秋芳洞にも来た事がある。おじさんは数年前、100歳の命を全うされたが・・・。
薄暗く、そして大きくて広い秋芳洞の洞窟を説明のアナウンスを聞きながら奥へ進む。澄んだ水が流れる淵、百枚皿、傘づくし、黄金柱、巌窟王などなど。不思議な自然の造形には感心させられる。昔よりは探索出来る範囲が広くなっているようだ。その時はエレベーターで秋吉台に出たのだが、今回は車をおいてある。
そこで来た道を楽しみながら引き返し、ゴロゴロと石灰石の岩が突き出ている秋吉台の草原へはその端まで車を走らせた。
三たび高速道路に乗り下関へ。 火の山公園山頂のレストランでふぐのミニコースの昼食。やはり名前通りミニはミニ、値段も値段。何か中途半端?
関門海峡を行き交う船や関門橋が真下に見える。そしてその先は・・・もちろん九州だが、あまりにも近くに見え、なぜか実感がない。
響灘を左に見て長門ブルーラインを北上。4時少し前に本日の宿、ホテル西長門リゾートへ到着した。このホテルが出来たのは私がまだ若かりしころのこと。当時話題にもなり一度来たかったのだが、車社会の現在ならともかく何分辺鄙なところ、ゆえにその思いを成就させるのに今日までかかってしまった。
それに加え去年の11月、角島大橋が完成。もちろんまだ新しく、白くて美しい橋に魅せられさっそく往復。角島はこれから開発が進みそうで、工事中の箇所が多い。
部屋からも青い海のすぐ先に角島が見え、思っていたとおりの素晴らしいところである。我々としては珍しく、海に来ていながらカミさんの 「たまには変わったこともええやん。」 との一言によりレストランでフランス料理の夕食。
オレンジ色に輝きながらちょうど角島と穏やかな響灘の間にお日様が沈んでゆく。おいしい料理と美しい夕日、それと冷めたいビール。今までに経験したことがない、とても幸せなひと時に酔いしれた。
青海島 萩 2001年4月4日(水)
朝食前に海沿いの庭を散歩。空は快晴、風は強いがさほど寒さは感じない。可愛い花が華麗に咲いている花壇の先には白い角島大橋が朝日に輝いていた。
1時間足らずで長門に到着。仙崎港からの青海島めぐりの観光船は思いのほか人が多く、2隻で出航。とは言っても20人ほどしか乗れない小さな船である。「波があるので、一周コースが観音洞コースに変更になります。」 との説明を聞き流したのが甘かった。
後で地図を見ると観音洞は外海に少しだけ出たところにある。最初は湾内を快適に進んでいた船が外海に出たとたん、ジェットコースターに変身。波しぶきが窓をたたきつけ、手すりを持っていなければ飛ばされそうになる。説明のアナウンスが流れているがそれどころではなく、外を見る余裕など全く無い。それより波しぶきで何も見えない。あちらこちらで悲鳴が聞こえる。
大きな波に小船が木の葉のように舞っている・・・とはこういうことを言うのか? 10分ほどだったと思うがとても長く感じた。ばあさんは、もう二度と船には乗らない・・・と言い出した。
以前、小浜の蘇洞門巡りでも同じような経験はあるが、これほどではなかった。確かにここも日本海。荒れた海のすごさはある程度わかっていたつもりである。だが今日は風こそ少しあるものの天気は上々、内海の波はとても静かであった。この変わりようには驚かされ、日本海のすごさ、荒々しさを改めて実感。
それより困ったことになってしまった。カミさんは大変な怖がり。その上頑固である。30数年前の新婚旅行は八丈島。快晴の空、絶好の飛行日和。 羽田を飛び立ったYS−11の窓から房総半島が美しく、はっきりと見えてきたとき、機長のアナウンス。
「ただ今、館山上空です。計器に異常が見られますので、羽田へ引き返します。」
代わりの飛行機に乗り換え再度出発。ただそれだけであったのだが、二度と飛行機には乗らない・・・と言い出し、今でもその心は変わっていない。
飛行機もダメ、船もダメ、どうも地に足がついていなければダメらしい。となると、頭の中にある北海道ドライブ旅行へは行けないではないか。なに? トワイライトエクスプレスとレンタカー? それも含めてここはゆっくり考える必要がありそうだ。
青海島大橋を渡り、今度は車で青海島へ向かう。青海湖、鯛の養殖場などを回り、キャンプ場からの遊歩道を歩いてみた。
透き通った美しい水、どこまでも続く青い海、いろいろな形の珍しい岩、そして、そこに砕ける白い波。そうか、観光船はこういう素晴らしい景色を見ながら進むのか。波の静かな日に機会があれば乗ってみたいが、あの様子では? 浜では若者たちがダイビングを楽しんでいた。
仙崎に戻り、おいしいお刺身の昼食の後、次の目的地、萩へ向かう。
指月公園の桜はちょうど今日が、いや今が旬を迎えたように満開である。それぞれの花が盛り上がり、自己主張をし、自慢げに咲き誇っている。これぞ桜の花だろう。その上空は真っ青でポカポカと暖かく、のんびり散歩していると眠気さえ覚える。
昨日の朝の吉香公園のしっとりとした花も良かったが、やはり桜にはこの陽気が似合っている。人出も結構多いが、あまり気にならず、至福のひとときに酔いしれた。
少しばかり町中を車と徒歩でウロウロして雰囲気だけを味わい、静かな喫茶店で小休止の後萩を離れ、海沿いに続く国道9号線を快適にドライブ。左に見る日本海はあくまで広く、あくまで青く、あくまで大きい。
やがて益田市内を通過し、大隅町に入ると大平桜の看板が現れた。狭い山道を走ること20分ばかり。山の中でもあり、早くも日陰になった丘に大きな翼を広げたような一本桜が咲いていた。見事に満開である。国の天然記念物だそうな。
日本海に静かに沈んでゆく真っ赤な夕日に海沿いで車を止め、しばし動けず。感動・・・。
浜田市内で夕食後、浜田自動車道、中国道を利用してその日のうちに帰り着いた。我が家ではこんなに高速道路を使った旅も珍しい。
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