旅 日 記

いざ、みちのくへ

2007年10月4日

 今年もいよいよ紅葉のシーズン。ばあさん、今年の紅葉狩りは早くから東北と決めていた。だが東北と言ってもとても広い。また紅葉の名所となれば再訪したいところも含めると裏磐梯、磐梯吾妻スカイライン、安達太良山、天元台、蔵王、月山、鳴子峡、栗駒山、抱返り渓谷、八幡平、八甲田山、十和田湖、奥入瀬渓流、蔦沼、白神山地などなど・・・昨年のリベンジ、那須も含める?

 これ全ては回れないじゃん。なに? 見ごろは9月末から11月始め? 1ヶ月以上? こんなのどうする?

 その上この夏の猛暑に輪をかけたようなこの残暑、9月半ばでも真夏並みの暑さ。これでは山も笑えない? 見ごろはいつになる? 調べれば調べるほど考えがまとまらず、もうどうでも良くなってきた。そのときになって行きたいところへ行けばいいじゃん。要するに山形か青森のどちらかだろ?

 いろいろ悩んでいる内に間もなく10月、今年の紅葉がいかに遅れているとは言え、高い山ではボチボチ見ごろを迎える。そこで再度ばあさんに聞いてみた。

 「一番行きたいとこはどこや?」

 「もう一回八幡平に行ってみたいねん。この前食べられへんかった十和田湖でアップルパイも食べたいし、大間のマグロも魅力たっぷりやし、おいしいサンマも食べたいし・・・。」

 「食べるもんばっかりかいな。紅葉はどうでもええんか?」

 「そんなん、十和田湖や奥入瀬渓流はそら行かなあかんやろ。食べるんはついでやがな。当たり前やろ。」

 まあ、食いしん坊ばあさんのこと。それにしてもちょっと贅沢過ぎない?

 だが八幡平の紅葉の見ごろは10月始め、十和田湖などは10月末ごろ・・・これではどうにもならない。どうする? ならばもうこれしかないだろうか。私には下調べのときに考えていた奥の手があった。

 10日以上となれば宿泊代はいくらかかる? 湯治宿? あるにはあるが超怖がりで清潔好きのばあさんが長逗留できるところはそんなに多くない、いや見つからなかった。

 そこで考え付いたのがレオパレス21。言わずと知れた賃貸マンションである。2週間からの短期滞在も可能だそうな。また築2〜3年ならばまだ新しく、ばあさんにも住めるかな? 青森近辺でしばらく腰をすえて各地を巡ればどうだろうか。

 ところがいろいろ検索していると評判はあまり良くない。しかしせいぜい2〜3週間だけだから、そんなことどうでもいいかな? ばあさんも大賛成。そこで1日になって申し込んだ。

 黒石温泉郷が近いこともあり黒石市内が良かったのだが、物件が少ないようで空きがなく、たくさんある弘前にした。3週間の滞在で諸経費込み、76900円。

 今回の主な観光地は青森県全域と岩手県、秋田県の北部だが、私にはどうしても行きたいところがある。昨年、テレビで見た時に、嘘だろ? と思ったほどの真っ赤に染まった山の姿。

 それは宮城県と岩手県、秋田県の県境にある栗駒山。しかし、弘前から引き返すには距離がありすぎる。そこで行く道中に立ち寄ることにした。

 当初はお昼頃出発して基点となるいわかがみ平で仮眠を取り、早朝登山。そしてその日に弘前へ移動する予定だった。でもさすがにこの歳である。大丈夫かな?

 そこで前日になって我が家の大蔵大臣に直談判。

 「一泊分、20000円ほど余分に出してくれへんか?」

 「なんでや?」

 「夜行で走って、それから登山やろ。この歳やで。無理ちゃうやろか?」

 「この時期やで。泊まるところなんかあるんか?」

 と言う訳で近辺の宿に電話をしてみたが、やはり満室のようだ。2軒目、

 「空いていますよ。」

 これはラッキー。でもいかに平日とは言え紅葉最盛期のこの時期に? 一泊二食11700円だそうだが・・・。

 4日に日付が変わった午前6時を過ぎて出発。家具、電化製品などがついているとは言え、それなりの荷物になる。これではまるで夜逃げじゃん。

 北陸道から磐越道へ、何事もなく順調に走行。何度か仮眠を取りながら、11時少し前に東北道の長者原サービスエリアに到着。ここはもう宮城県である。

 ここまで多少雲は多いもののおおむね好天。これなら明日でなくても昼から登れないかな? そこでホテルに電話で聞いてみた。

 「晴れていますよ。山も見えています。」

 ならば急ぐとしよう。

 いわかがみ平には12時30分に到着した。全くの曇り空だが視界はそんなに悪くない。準備をして早速栗駒山登山開始。中央コースなら頂上まで1時間30分だそうな。

 しかしきれいに整備はしてあるものの、ゴロゴロと岩がむき出しの道、それも直登じゃん。その上登山初心者のばあさん、いや足が弱っている私にとってはいきなりの急斜面である。ばあさんの足を考えてゆっくりゆっくり。いや、これは私のテンポかな?

 10分ほど登っただろうか、いよいよ雲が厚くなってきた。下ってくる人たちは、

 「素晴らしい紅葉でしたよ。」

 と教えてくれるが、ここは断念したほうが無難かな?

 そこで少し広いところの岩に腰をかけ、とりあえず持参のおにぎりを食べることにした。ところが少し雨粒がかかりだしたではないか。急いで下山。今日はホテルでゆっくりしますか。

 その宿はハイルザーム栗駒。この施設も第三セクターの運営だそうな。到着したのは1時30分。当然チェックインの時間ではない。フロントマンは、

 「部屋の準備が出来次第お知らせします。」

 そこでロビーでのんびりと休憩。早く部屋で一眠りしたいがいくら待てども呼んでくれない。結局チェックインしたのは2時50分。以前どこかで1時間以上も早く部屋に入れてもらったことがあったっけ。

 こちらが無理を言っているのは事実だが、できないのならできないとはっきり言ってほしい。それならそれなりにこちらにも対処の仕方があると言うものだろ?

 また、

 「明日の天気はどう?」

 と聞いたところ、

 「調べてお知らせします。」

 しかしその後何の連絡もなし。おいおい、このホテルはいったいどんな教育をしているの?

 館内はなんだか健康ランドの趣き。日帰り客がメイン? 健康器具が設置され、プールもあるそうな。温泉の休憩所には立派過ぎるくらいの緞帳がかかった舞台まである。これは大衆演劇用? 部屋と食事はまずまずだったけれど・・・。

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