旅 日 記
四国一周
足摺岬まで 2001年1月29日(月)
カミさんがテレビで見た宿毛のダルマ夕日を見に行こうと言う。 そこで四国の旅を計画、出発はまたも深夜。 しかし、カミさんの様子がおかしい。 体調が悪そうだ。 明石海峡大橋を渡る前に、やめようか?と聞いたが、どうしても行くと言う。 少し迷ったが海を越えた。 もう行くしかない。
深夜の国道は車が少ない。 特に徳島を過ぎると極端に少なくなる。 うっすらと白みかけた室戸岬に到着。 あまり寒さは感じない。 かすかないびきをかいてよく寝たせいか元気そうで一安心。 いろいろな形をした大きな岩が立ち並ぶ海岸に出て日の出を待つ。 穏やかな大きな海の水平線と少し多めの雲の間から、柔らかな光とともに、やや遠慮がちにお日様が顔をのぞかせた。
国道55号線は海沿いを走っているのに防波堤が続き、海を眺めながらのドライブ・・・とはなかなかならない。 少し残念。
安芸が近くなり、歓迎、阪神タイガースのノボリが目につきだした。 そうか、2月1日からキャンプインか。 そこでちょっと高台にある安芸市営球場をのぞいてみたが、プロ野球のチームが使うにしては少し小さいかな? ここに何千人ものファンが詰め掛けるの?
高知と言えばやはり桂浜だろう。 そこで砂浜が美しい海岸をのんびりと散歩する。 風もなく、日差しがとても暖かい。 打ち寄せる波もわずかな白波で、まことに穏やかな海である。
テレビの台風中継しか見たことがない者にとっては少し肩透かし。 ん? なんと不謹慎なことを言う・・・と竜馬さんににらまれた?
春野町の海岸線を快適にドライブ。 ポカポカと早くも春が来たようだ。 窓を開けるととても心地良い風。 やがて横波黒潮ライン。 壮大な太平洋を眺めながら登って行く。 なに? 明徳義塾? 高校野球で有名だが、こんなへんぴなところにあるのか。
道の駅須崎で休憩と昼食。 入野松原の美しい砂浜を見て安並水車の里へ。 なに? 工事中?
四万十川は川沿いをさかのぼる。 あれが沈下橋か・・・。 近くで草取りをしているおじさんは車で渡れるという。 ならば行ってみよう。 だがこれは恐ろしい・・・ソロリソロリ、あ〜こわ〜・・・。
大岐海岸の美しい砂浜をのんびりとお散歩。 静かで大きい青い海。 遠くまで長く続いている砂浜と松林。 日本は広く、また美しい。
足摺スカイラインに差し掛かる。 だが、またカミさんの元気がなくなった。 急いで宿にチェックイン。 体温計を借りて計ると38度を超えている。 「医者は?」 と聞くと、「いらない。」 との返事。 以前から彼女は熱に強いのは確かだが・・・。 持参の薬を飲み横になる。
「わあ、きれい。」 と、力のない声。 大きなガラス窓を通して赤く染まった雲の下から、キラキラと輝く水平線に美しいダルマ夕日が沈んでゆく。 だが、なぜかわびしい。
夕食には一口も箸をつけない。 明日は高知回りか松山回りのどちらが速いかと考えた。 明石での決断が悔やまれる。 足摺岬はあまりにも遠い。
宿毛まで 2001年1月30日(火)
カミさんは先に目を覚ましていた。 夜中何度か起きて見たが熟睡していたようだ。 そのせいか、顔色が良くなり体温計は平熱を示しているのを見て一安心。 朝食はおいしいと・・・と言ってほとんどたいらげた。 大丈夫・・・と言うので旅を続けることにする。
咲き始めた椿の林をくぐり、足摺岬の展望台に立つ。 天気は晴れ、波は穏やかだ。 少し春霞がかかってはいるが水平線と空の境目は何とか確認できる。 切り立った断崖に白い灯台が良く似合い、なんだか誇らしげである。
海岸線に沿って続く狭い山道は森の中を走ることが多く、木々の間からもあまり大きな海を望むことは出来ない。 やがて4〜5台の駐車スペースと小さな売店。 どうやらここが臼碆展望台の登り口らしい。 登ること約10分。 見事な眺めが目の前に広がっていた。
真下に見えるいろいろな形をした岩は茶褐色で、押し寄せる白い波が良くお似合いじゃん。
見渡せば端から端まで海から突き出した岩と、その上に緑の帽子をかぶった陸地が続いている。 あれが足摺岬か〜。 潮風が登りで少し汗ばんだ体を心地良く吹き抜けていった。
足摺サニーロードを快適にドライブ。 青い海を眺め、海風を受けながら走るのは誠に心地よい。 さて、今日は何月何日だったっけ? さすがは南国。 とても暖かく、今が冬の真っただ中、寒の内とはとても思えない。
程なく竜串海岸に到着。 恐竜の背骨のようなごつごつとした岩がどこまでも続いている。 なんとも不思議な光景だ。 どのようにしてこんな岩が出来たのだろう? 我々と同年代の男女十数人のグループが三脚を立て、ファインダーを覗いていた。
すぐ近くの乗り場から見残し海岸への観光船、グラスボートが出ている。 船長さんは案内所と連絡を取り、10分ほど待たされたが結局二人だけの貸切船。
風景はもとより、海風がとてもさわやかである。 その上、ガラス越しに見える海底にはシコロ珊瑚の大群落。 カミさん、わ〜きれい・・・とはしゃいでいる。 どうやら体調は戻ってきたようだ。
よく見れば縁取りが黄緑色のネオンサインのように輝き、緑色の葉っぱがフリルのようだ。 なんだか巨大なキャベツ? いや、まんじゅう? とにかく何とも言えないほど美しい世界が一面に広がっていた。 親切な船長さんは予定時間をオーバーして、たっぷりと見せてくれた。
お昼時も少しオーバー。 少々おなかもすいてきた。 宿毛サニーサイドパークにある活魚料理勝丸で昼食。 ここの1500円の刺身定食はなかなかのもので、カミさんは鯛のお造りに感激して完食。 これでもう大丈夫だろう。 あまりの美しさに、お造りに出たヒオウギ貝の貝殻を貰って帰る。
いけすの中にかごがぶら下げてあり、なんの気なしに引き上げてみると中の貝に水を思いっきり吹きかけられた。 かなり服が濡れる。 馬鹿にしたような顔をして鼻先で笑っている我が家のおばはん。 これがいつもの女王様じゃん。 ホッ!
次は愛南町の宇和海海中公園、海中展望船へ。 なに? 波が荒くて欠航? そう言えば少し雲が多くなり風も強くなってきたようだ。 明日は大丈夫らしい。 仕方なく周辺をドライブすることにした。
外泊は石垣がまるで棚田のように階段状に上のほうまで積み上げられ、そこに家が建っている。 なんと恐ろしいことよ。 またまた狭い山道を海沿いに走り、高茂岬まで。 道中、見晴らしはあまり良くないが見事な桜並木が続いていた。 だがここまで花見には来れないじゃん。
高茂岬は広い駐車場もあり、今も整備作業をしている人がおられる。 まずまずの眺めだが我々はここまで足摺岬をはじめたくさんの美しい海を見てきたところへこの天気、その上風がより強くなってきた。
宿毛まで戻り、早めに宿に入る。 期待していた今日のダルマ夕日は残念ながら雲の中・・・カミさんがっかり。 昨日のダルマ夕日はやはり上の空だったそうな。 まあ、この天気だから仕方がない。 その分今夜は夕べの分までおいしい魚を存分に味わって下さいな。
宇和海海中公園 佐田岬 2001年1月31日(水)
早い朝食をとり、7時30分に宿を出る。 8時30分発の海中展望船ガイアナはまたも乗客二人だけである。 何か気の毒に感じ恐縮するが、皆さん親切だ。 シーズンオフには良くあることなんだろうと、良いように勝手に想像する。 好天に恵まれ、波は穏やか。 風はまるで春風のようで、とても爽快である。
10分ほどで船底へ案内された。 大きな窓からいろいろな種類の美しい珊瑚の間を大小さまざまな、そして色鮮やかな魚たちが泳いでいるのが見える。 始めて見る魚も多い。 これはまるで竜宮城へ来たようだ。 初めて潜ったダイバーもこんな気持ちなのだろうか?
良く考えてみれば乗客は二人なのに操縦士と案内の人。 いわばマンツーマンである。 親切に珊瑚や魚の説明をまるで個人授業のごとくして下さる。 なんと贅沢なことよ。 たっぷりと見せてもらった30分はすごく短く感じた。
「次は魚の種類が多くなる5月の連休明けに、今日はドック入りしているユメカイナに乗りに来て下さい。」 と誘われ、二つ返事で約束をしてしまった。 大丈夫か?
国道55号線はとても走りやすく、快適な道。 この旅も今日が最終日。 時間も気にかかるが、やはり南楽園にも寄らなければ・・・。
周りの山を借景として自然に取り込み、美しく手入れされた広い庭園。 池にはたくさんの錦鯉。 歩いているだけで心が和む。 早くも梅の花が咲いていた。 ゆっくりしたいが先を急がねばならない。
八幡浜から佐田岬へのメロディーラインは細長く延びた半島の尾根伝いの道。 左は宇和海。 右は瀬戸内海。 快適な道だが、見晴らしは・・・? その上霞がかかり、美しい海が望めず、少しガッカリ。
終点の三崎から佐田岬灯台に向かって狭い山道を走ること約15分。 楽しみにしていた岬鯵(はなあじ)を求めて漁協直営レストランに到着。
岬鯵はブランド物の関鯵と同じ魚場で獲れる。 しかし少しばかりぼんやりとした海を下に眺めながら食べた鯵と鯖の刺身はなぜか淡白な味。 新鮮なのは確かだが何か脂がのっていない? わざわざこのためにここまで走って来たが時期的なものもあるのかな? 昨日宿毛で食べた鯛が頭をよぎる。
無人の売店でポンカンを、道の駅キララ多岐で売り切れ寸前のじゃこ天を購入。 可愛い名前のゆうやけこやけラインはその名の通り快適な海岸線を走る格好のドライブコースで、夕日を見ようと道の駅双海で休憩。 だが残念ながら雲が多く、今日は見られそうにない。 ならば先を急ごう。
伊予インターから松山自動車道を利用。 しばらくして日が暮れる。 終点の高松でうどんの夕食。 帰り着いた時には日付が変わっていた。
1400Kmを超えるロングドライブであった。 まずは我が家の女王様が無事であったのが何よりのこと、ホッ!
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