旅 日 記
千畳敷カールから栂池へ
栂池自然園 2006年10月4日(水)
部屋の窓から白馬三山がくっきりと見えている。 その山並みが朝日に輝き、鮮やかな色に染められ、とても美しい。
「山はきれいなもんなんやな〜。」
とばあさん。 こんなに鮮やかなアルプスを見るのは初体験かな? 真っ青な空もまぶしい。 今日はなんだか良い事が起こりそうだ。
7時30分、食堂でおいしい朝食をいただく。
「なんやいつものバイキングの朝食より、ぎょうさん食べたようやわ。」
バイキングが大好きなばあさんはいつも
「今日は昼食抜きやからな。」
と、これでもか〜と言うくらいいっぱい食べるのに、それ以上?
食堂の窓から見るとあんなに美しかった山のそのほとんどを雲が隠してしまった。 今日は午後から天気は下り坂らしい。 これは早めに登った方が無難かな? と急いでチェックアウト。
8時過ぎに乗り込んだゴンドラはやがて雲の中へ。 視界が全く無い。 おいおい、それはないだろ?
今度はロープウェイに乗り換え。 両方で全長5.3Km、標高差約1000mを26分で運んでくれる。
やがてその雲の上に出たのだろうか、ロープウェイからは眼下に美しく色付いた木々が見え始め、到着した自然園駅では黄色が中心ながらオレンジや緑、そしてところどころの赤がポイントとなり、素晴らしい色具合の紅葉が迎えてくれた。
栂池山荘の売店でおにぎりとパンをゲット。 いざ、栂池自然園のハイキングへGo!
栂池自然園へ一歩足を踏み入れた途端、なんじゃ〜これは! 山の頂にガスがかかってはいるが、目の前に広がる見事な紅葉・・・錦織り成すとはこう言う情景を言うのか。 栂池記念館が紅葉に埋まっている。
なんだか鮮やかな赤い色が多いいように感じる。 ゆえにより素晴らしい紅葉に見えるのだろう。 千畳敷カールの岩山と紅葉の風景も良かったが、樹木が生い茂った大きな山がいろいろな色に染められた紅葉もまた素敵ではないか。
正直なところ栂池自然園を少し見くびっていたようだ。 ここまで素晴らしいところとは思っていなかった。 期待が小さかった分、それだけ感動も大きいと言うことだろう。

あれもシシウド? なんと珍しい色よ。
池塘が現れ、枯れ始めた大きな葉っぱに覆われていたのはミズバショウ湿原、それも結構広い。 後で聞いたところ水芭蕉は花が終わると葉だけがどんどん大きく育つそうな。
「これやったらなんも尾瀬まで行かんでもええやん。」
「それ本気か? 尾瀬はあんたが言い出したんやで。」
「そやった。 やっぱり来年は尾瀬へ行くで〜。」
大きなナナカマドの木が色づき、一本の木には実がなっていた。 これから真っ赤になるのだろうか?
小さな森を抜ける手前で手をかざすと冷たい空気が感じられるところがあった。 風穴と言うそうな。 設置してある温度計は10度を示していた。
その森を抜けるとワタスゲ湿原。 湿原に現れる地塘や草紅葉、そして美しく紅葉した木々、またガスに煙った山の姿などなど、少し移動するたびにその表情が変化し、楽しませてくれる。
行程では約35分とあるが、相変わらずゆっくりゆっくり。 さてどれくらい時間が経ったのだろう。 そんなことどうでもいいじゃん。 ここまでは高低差もほとんどなく、きっちりと整備された木道を快適に歩いてきた。 この景観、そしてこの空気、雰囲気、開放感、なんと居心地の良いところなんだろう。
楠川を渡ると木道もなくなり、本格的な山道へと様相が一変する。
かなりきつい登りもあり、ハイキングの域を超え、これはもう登山である。 雲の流れが速く、少しの時間青空も顔を覗かせてくれる。 その瞬間がまた素晴らしく、
「日ぃ差してきたで〜。 早よ早よ!」
「そんなせかしてもどうにもならんがな。 デジカメのシャッター、押すんに時間かかんねん。」
視界も少し悪くなり、森の中を歩くこと30分、いやそれ以上かかったかな? パンフレットには25分とあったから向かったのだが、ばあさんには少々きつかったかな?
ようやく到着した浮島湿原、この先展望湿原まではこんな登りが40分続き、そこまで登るとより景観も開け、白馬雪渓も見ることができるそうな。 しかしこの天気である。 見える保証はない。 その上二人とももはや体力の限界? ならばここで引きかえすのが賢明だろう。
そこでこの浮島湿原を一周することにした。 ところどころの空で雲がきれ、青空も覗きだしている。 山の姿がくっきりと見え、その山が見事に色付き、とても素晴らしい。
ほんの一瞬だが、その向こうにガレ場の山が見えてきた。 白馬? それとも蓮華岳? 展望湿原まで登ればそれらが見えるのだろう。
見事な草紅葉、そしてその中の地塘がまた良い雰囲気。 その地塘に真っ赤に色付いた木々がが映し出される様を言葉もなくうっとりと眺める二人・・・これだけでもここまで登ってきたかいがあろうと言うものだろう。
ところがいきなりガスがかかりだし、瞬く間に視界を奪ってしまった。 これまではすぐに晴れてくれたが、どうやら本格的な雲に覆われたようだ。 これで今日はもうおしまいかな?
残り半分の湿原めぐりは霧の中。 しかしこんなに素晴らしい紅葉を見ながらハイキングできたのだから、満足、満足。 ならばこのまま引き返そう。
なにぶん狭い山道。 帰り道は多くの登ってくる人たちとすれ違うたびに待たされる。
「登り優先やで〜。」
「車と同んなじやねんな。」
楠川まで戻り、その冷たくて美しい水が流れる川原で真っ赤な紅葉を見ながらおにぎりとパンの昼食。 これに勝るものは無い。
「ここで温かいコーヒーが出てきたら言うことないんやけどな〜。」
「そやな〜。 ほな次は小さなバーナー、買うてこうか。」
あとはワタスゲ湿原とミズバショウ湿原を別ルートで最後の紅葉をたっぷりと楽しみながら相変わらずゆっくりゆっくり。 そして栂池山荘に立ち寄り、温かいコーヒーで一休み。 なに? コーヒーより山葡萄のソフトクリーム? やっぱり・・・。 旅のアルバム 栂池自然園
駐車場へ戻ってきたのが2時少し前。 なに? どこかで温泉に入りたい? ここにも温泉はあるがどうせ北陸道へ回るつもりだから姫川温泉かな? 道の駅小谷へ行けば何か情報もあるだろう。
ところが道の駅小谷は水曜日でお休みじゃん。 その上寄った姫川温泉は古ぼけた旅館が2軒だけ? そして廃業した旅館が朽ち果て、崩落の危険があるため通行止めの看板。
駅へ行けばわかるだろう。 なに? 無人駅? そこで駅前の郵便局へ。 たった一人の局員さんは一人のおばあさん相手にのんびりとお仕事中。 仕方なくそのおばあさんに聞いてみた。
この先の国富が良いというので行ってみると、これはまた新しくて立派な旅館、いやホテルである。 なに? 入浴料1000円? ところが入浴客の姿はなく、大きなお風呂なのに貸切じゃん。 ならば1000円の値打ちはあったかな?
ヒスイ峡の標識を見て回り道。 ヒスイ海岸に行ったことはあるがここは知らなかった。 突然現れた大きな岩山にびっくり。 これはすごいところだ。 車で通過しただけだがその雰囲気は十分に感じ取ることができた。
なに? 北陸道なら富山でおりてお寿司の夕食? まあ、ちょうどそれくらいの時間かな? それと100Km以内だしちょうど通勤割引で半額になる。 6時過ぎ、いき魚亭でお寿司の夕食。 ところが1年半ぶりでサービス券が無効になってるじゃん。
ばあさんは明日も休みだし、夜中になっても大丈夫だろ? と深夜割引を利用すべく時間調整、金沢までは国道7号線を、そして小松バイパスを走り、ようやく多賀インターチェンジから北陸道を利用する。
雨が落ちてきた。 我々は秋雨前線をかいくぐり、ちょうど良い日に出かけたようだ。 また思い切って出かけて大正解。 深夜割引対象時間の深夜0時過ぎ敦賀インターチェンジで高速道路を離れ国道161号線へ。 いろいろ節約するのも頭を使い苦労も多いが、これもまた楽しいではないか。 午前2時、無事帰着。 走行距離988Km。
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