旅 日 記


谷川岳から日光へ


日光 一日目 2006年10月17日(火)


 部屋の窓からはスキー場、そしてその上には雲一つない真っ青な空が見えている。 今日は絶好のもみじ狩り日和らしい。 朝食を済ませ、8時過ぎに出発。

 やがて丸沼。 木の間から湖面に映った紅葉が美しい。 思わず車を止めた。

 続いて見えてきた菅沼ではわざわざ湖畔まで回り道。 この道は前回帰り道に走ったが、こんなにも美しかったっけ? まあ、日光の帰り道だったから気が付かなかった?  いや時期、時間、お天気にもよる?

 明日那須高原へ向かうのなら今日は日光を隅から隅まで回る予定。 だからあまり時間の余裕はない。 なのに寄り道? これは困ったことになりそうである。

 やがて金精トンネルを抜けると金精峠、大きな男体山と湯ノ湖が見えてきた。 そして美しく紅葉した山々、荒々しい岩肌の金精山と真っ青な空。 早くも日光の雰囲気に飲み込まれた?

 二度目だから余裕たっぷりである。 まずは湯ノ湖畔へ。 しかし駐車場が一杯で停められない。 こんなに早くから? 待つこと10分、いや15分。 これでは今日、この先が思いやられる。

 鏡のように静かな湖水に紅葉した山が写り、透き通った水面にお日様がキラキラと輝いている。 のんびりと泳ぐカモの家族がお出迎え。 優雅だね〜。 ホッ!

 湯滝の有料駐車場では観光バスが多く、ここでも満車で待たされた。 その乗客は修学旅行の小学生らしく、それがまた賑やかで落ち着かない。 滝の前は通勤電車並み?

 こんなに美しい紅葉と見事な滝をゆっくり眺めていたいのに、それもままならない。 これではこの滝を見物するだけで疲れてしまうじゃん。

 次は光徳牧場。 ここはどうしてもはずせないところ。 寄らなければ後が怖い? 目的はばあさんの大好物、ソフトクリームである。

 ところがここでも駐車場は観光バスがそのほとんどを占領、乗用車は道路際へ追いやられている。 また売店では小学生がわんさかわんさか。 ほぼ全員? ちょっと贅沢・・・じゃない? いや、これも時代かな? アイスなど、滅多に口に入ることがなかった小学生のころが懐かしい。 いや、ソフトクリームなどあったっけ?

 三本松茶屋の駐車場も満車状態だったが、その隙間をかいくぐり戦場ヶ原の木道を少しだけ散歩する。 草紅葉はすでに峠を越えていたかな? それでもそれなりの雰囲気は感じられる。 遠くに見えているのはきれいに並んだ白樺の木・・・ほっこり・・・。

 赤松茶屋裏の駐車場では駐車できない車が列をなしていた。 15分は待たされたかな? 片品を出てここまでコンビニもなく、先ほどの三本松茶屋もこの赤沼茶屋にもお弁当やおにぎりは売っておらず、予定が狂ってしまった。 仕方がない・・・今日もパンで我慢するか・・・。 11時30分にハイキング開始。 小田代ヶ原まで往復の予定だが、ここでもう予定より1時間以上遅くなっている。

 クマザサが生い茂る平坦な道を少し早足で歩く。 そんな意識はなかったのだが、遅れを取り戻そうとする気持ちが自然とそうさせていたようだ。 カラマツの小さな葉がひらひらと舞い落ち、ブナの木が生い茂る静かな森の中だが、行き交うハイカーとの挨拶に忙しい。

 小田代ヶ原は鹿が入らないように柵が儲けられ、人間が入るのにも・・・これは回転ドア? いや回転柵・・・かな? これはまた念の入ったことよ。

 戦場ヶ原が見渡せる休憩場所で昼食。 今回はカップ麺とコーヒーを持参。 さあ、お湯を沸かそう。 ところがバーナーよりは手軽だろうと固形燃料にしたのがまずかった。 火力が弱すぎる。 その上風にあおられ、余計時間がかかる。 旅館などで使われているのは室内だから通用するのか? 時間が押していると言うのに、イライライライラ。 たまらず沸騰前にカップ麺へそそぎ、インスタントコーヒーを入れる。 少し固めの麺と少し温めのコーヒー。 今回はこれで我慢かな?


 木道が設置してあるこじんまりとした湿原はなかなか静かで良い雰囲気。 周りは黄葉した山に囲まれた草紅葉と、その黄色い林の前に立つ一本の真っ白な白樺の木。 あれがかの有名な貴婦人のようだ。 そう言えば気品がある? しかし先ほど見た戦場ヶ原の白樺、その差はなんなのだろうか。

 10分ほど待つとバスが来るようだ。 ならば時間も押していることだし帰りはバスにする? いやこれは時間のことより体力の問題かな?

 40人ほどを乗せたハイキングツァーの観光バスが到着。 皆さん、バス停にある小さなトイレへ一直線、瞬く間に長蛇の列になってしまった。 そのほとんどが我々世代、それも女性がほとんどじゃん。

 竜頭の滝でも満車状態。 大変な人を掻き分けて名物のお団子を食べながらの滝見物。 だがこれでは落ち着いて眺めるわけにもいかない。

 中禅寺湖畔の道路に差し掛かった途端、とうとう渋滞が始まった。 まだ紅葉には少し早い中禅寺湖に沿って車はノロリ、ノロリ。

 これからまだ半月山展望台、華厳の滝、明智平ロープウェーへと回る予定。 なのに時間は3時前。 その上もやがかかったように見通しが悪くなってきた。 天気が良すぎて暖かなせいだろう。 これでは半月山からの素晴らしい紅葉はどのように見えるのだろうか?

 その上ばあさん、なんだかお疲れのご様子。 なに? 人に酔った? 今日は火曜日なのにこの混雑。 この車の量と人では当然のことか? 我々がどこへ行くのもそのほとんどが平日。 こんなに混雑することは滅多にない。

 5年前に来た時には人も車も少なかった。 天気が悪かったこともある? それともこの5年で時代も変わったと言うことだろうか? いやさすがにここは首都圏だし、それにも増してこの時期、この天気であれば当然のことか? ならば仕方がない、あきらめよう。 そこで日光レイクサイドホテルへチェックインした。

 だが時間はまだ3時過ぎ。 華厳の滝までは 10分ほど歩けばいいそうな。 そこで向かったのだが、駐車場のあたりも車がひしめき合っている。

 華厳の滝も日が翳り、もやがかかったように少しぼんやりとしていた。 相変わらず修学旅行の小学生で賑やかである。

 この時期のことでもあり、日光レイクサイドホテルへは昨日電話で予約しておいた。 二食付き
13000円。 部屋と言い、食事と言い、観光地でこの値段。 まあ、こんなものかな?

 それにしても温泉大浴場がホテルの外へ出なくてはならず、それも結構歩く必要がある。 湖畔の湯の風情を楽しんでもらいたい? そんなことより面倒じゃん。 その上今はまあいいとして冬場などはどうするの?

 ところで那須だが、明朝、朝食までに中禅寺湖展望台へ、そして8時30分始発の明智平ロープウェイに乗ればなんとか行けるかな?


日光 二日目と那須高原 2006年10月18日(水)


 早朝5時45分、勢い込んで宿を出た。 だが曇り空でなんだかどんよりとしている。 ところが中禅寺湖スカイラインは立木観音を過ぎたところにあるゲートが閉まってるじゃん。 なに? 夜間は17時から朝の7時まで通行止め? 後で聞いた話では暴走族やローリング族対策だそうな。 なんとまあ迷惑なことよ。

 実は昨日チェックインの時にフロントで、

 「明朝6時前から中禅寺湖スカイラインで中禅寺湖展望台までドライブに出ます。 朝食の時間までには帰ってきますのでよろしく。」

 と断っておいた。 ならばなぜその時に言ってくれなかったの? まさか知らない訳はないだろ? こんなフロントマンにも困ったものである。

 仕方がない、このままホテルに戻って寝直すか? それもしゃくじゃん。 ならばもう一度奥日光まで走るか?・・・と思いがけない早朝のもみじ狩りドライブに・・・。

 到着した湯ノ湖はあくまでも静かな湖畔なのに、小学生の修学旅行だろうか、朝の散歩でとても賑やかではないか。 なるほど、これでは湯元温泉の宿が満室な訳だ。 だから5年前も高級旅館しか空いてなかった?

 ついでに湯元温泉の源泉見物。 ここでも温泉に手をつけてはしゃいでいる小学生のグループでとても賑やか〜・・・。

 金精峠を目指してみたが、残念ながら少しばかりの朝焼けはあるものの朝日は雲の中。 どうも今日はツキもないようだ。 だが道路際にはたくさんの猿を見ることができたし、静かな湯ノ湖や素晴らしい紅葉にも再会できたし、戦場ヶ原では道路を横断する鹿にも出会えたし、やはり早起きは三文の徳と言うことだろう。

 しかしこれでは那須高原行きを諦めざるを得ない。 今日は中禅寺湖展望台と明智平だけで後はゆっくり帰るとしよう。 もともとそんな予定だったし・・・。


 朝食後、改めて中禅寺湖スカイラインへ向かう。

 半月山駐車場からは山々と谷に広がる貼り絵のような紅葉を、

 そして中禅寺湖展望台からは大きな男体山を従えた中禅寺湖と八丁出島の紅葉がパノラマのように眺められ、ばあさんも満足げであった。 しかし曇り空の上もやがかかり、少し視界が悪い。

 昨夜NHKのニュースで流れていたらしく、それを見て来たと言う大きなカメラを抱えたお方も誠に残念そう。 昨日の朝はあの青空、一日違いで大違いである。 だが5年前のことを思えばこれはこれで十分かな? 贅沢は言えない。

 続いて明智平へ。 第二いろは坂は登りの一方通行だが明智平までは下ることができる。 しかし早くも駐車場は満車。 少し待って何とか停め、ロープウェーで展望台へ。

 ここからは中禅寺湖の下に華厳の滝が眺められる。 でもやはりスッキリとは見えない。 まあ、仕方がない、これで観光終了としよう。

 明智平からは一方通行のため一旦中禅寺湖まで戻らなければならず、それがまた渋滞で車がびっしりとつながっていた。


 さあ、帰るとしよう。 第一いろは坂を下る。 時間は11時を過ぎたところ。

 「あと2時間早かったら那須まで行けたのにな〜。」

 とつぶやいてしまった。 それを聞いたばあさん、

 「今から行ったら何時に帰れるん?」

 おいおい、行くつもりか?

 「那須高原到着が1時ごろやろ。 3時に出発したとして、やっぱり夜中の2時ごろやろか?」

 「それやったら行こ。」

 なに? 貴女は明日、お仕事じゃん。

 「大丈夫や。 帰りの車でしっかり眠るさかい。」

 え〜? マジで?

 間もなく国道122号線との交差点に差しかかろうとしている。 そこを右折して足尾から桐生、そして伊勢崎インターチェンジから高速道路を利用して帰る予定。 さてどうする?

 「ほんまに行くんか?」

 「うん、行く。」

 ならば仕方がないと直進した。

 清滝ICから日光宇都宮道路へ。 しかし反対車線の日光方面行きが大変渋滞している。 5Km? いやもっとありそう。 これでは帰りはどうなるの?


 予定通り1時に那須高原のロープウェー乗り場に到着。 しかし全く視界がない。 高速道路を走っている時、天気予報では晴れだったのに北の方角に雲が多いのが気になってはいたが・・・。

 峠の茶屋まで行ってみたが、なおひどい霧。 売店のおばさんは、

 「今日はもう無理だね〜。 天気が悪い方へ向かっているし。」

 何のことはない。 ここまでお団子をいただきに来ただけ?

 ロープウエイ乗り場で、

 「ひょっとして上は晴れていない?」

 「いえ、今日はダメのようですね〜。」

 これではどうしようもない。 目の前には霧に霞んではいるが、これ見よがしに真っ赤に色付いた森が広がっていた。 それを横目にトボトボと引き換えすこの辛さ、寂しさ、悔しさ、むなしさ・・・。 結局貴重な時間、高速料金、高いガソリン代の無駄遣いとなってしまった。


 帰りはどうする? このまま東北道を走っても東京なんてどう走っていいものやら全くわからないし、そんなところでウロウロするより、良く調べてわかっている伊勢崎インターチェンジから予定通り、更埴ジャンクション、岡谷ジャンクションから中央道のほうが賢明かな?

 しかし日光方面へのあの渋滞は避けたい。 ならばと佐野藤岡インターチェンジから国道50号線を走り、伊勢崎インターチェンジへ回ることにした。

 さて一日目、東部湯の丸サービスエリアでのあの決断はどうであったのだろうか? 那須から回っていれば? いや、これは結果論であろう。

 少し苦労はしたが何とか日付が変わった0時30分、無事帰りつくことができた。 那須でのこともあり、余計疲れたようだ。 三日間の全走行距離、1700Km。

 それにしても日光の混雑には驚いた。 それと5年前と言い今回と言い、那須にはどうも縁が無いようだ。

 「こうなったら来年、意地でも行くで〜。」

 とばあさん。 え〜? マジで?


Back  Home