旅 日 記


身延山から富士五湖へ


身延山と富士五湖 2007年3月26日(月)


 今年は記録的な暖冬。 これでは桜の花もたまらず3月中頃には開花する?

 いやいや、ちょっと待った・・・とばかりに3月に入って寒波襲来。 やはり自然界は良くできているもので、帳尻はきっちりと合わせてくるようだ。

 ところで今年の花見はどこへ行く? 近場の桜を中心に結構見てきたけど・・・。

 冬眠が習慣となってしまったこの身ゆえ、考える時間はたっぷりとある。 桜、さくら、サクラ・・・っと・・・。 いろいろあるが、やはり日本三大桜くらいは見ておきたい。

 根尾の薄墨桜は2度訪れたから後は福島県の三春の滝桜と山梨県の山高神代桜。 となると、とりあえずは近いほうの山高神代桜かな?

 そこでいろいろ検索をしてみると、その近くにも結構ありそうだ。 わに塚の桜、妙了寺の桜、そして身延山久遠寺の枝垂桜。 それらをまわって帰りに焼津でおいしいお魚。 それってなかなか良さそうなコースじゃん。

 ところが世の中なかなかうまくいかないもので、咲く時期が違う? 身延山久遠寺は枝垂桜だから、やはり早く咲く? 神代桜はそれより一週間から10日ほど後? ならばどうすれば良い? 結局一度ではまわれないと言うこと?

 歳をとる、いや歳を重ねてくると人間せっかちになってくるのだろうか? 桜の便りが届きだし、久遠寺の枝垂桜の様子を毎日ネットの写真で見ていると、もうたまらない。 ばあさんが休日の26日には雨あがりの快晴になるそうだし、久遠寺の桜も見頃を迎えてると言うし・・・。 ならばもう出かけるしかないじゃん。 日帰りで行けるだろう。

 ところが我が家のお優しい女王様のこと。 なにぶん高齢のお抱え運転手。 無理は避けたほうが良かろうと一泊しても良いと言ってくれた。 その気遣いに涙ポロポロ・・・。 それはちょっと大げさかな? そこで今回は神代桜を諦めて久遠寺から富士五湖を巡ることにした。

 午前8時到着。 朝早いのはもちろん深夜割引を利用したため。 予報通りの快晴。 早くも駐車場にはたくさんの車が停まっていた。 現在五重塔を建設中。

 身延山久遠寺はさすが立派な広いお寺である。 ばあさん、参道の急な階段を覗き込んでびっくり。 上から見ると垂直にさえ見える。 287段もあるそうな。

 「この階段を歩いて登ってくるん?」

 まあ、後でじっくりと登らせてあげますから〜・・・。

 境内にはあでやかに咲いている大きな2本の枝垂桜はほぼ満開だろうか。 古木のほうは樹齢400年だそうな。 優雅である。 建物も立派だが、この枝垂桜も見事な姿で咲き誇っていた。 来て良かった〜。

 満員の身延山ロープウェイで海抜1153mの山頂へ向かう。 所要7分。 ばあさん、あまりにも急な斜面に目を白黒、「怖わ〜・・・。」

 蛇行している富士川がはるか下のほうに見えているが、お目当ての富士山は残念ながら雲の中。 春と秋にはダイヤモンド富士が見られるそうだ。

 奥之院思親閣、よくこんな高いところに建てたものである。 あんな急斜面を昔の人は歩いて、それもたくさんの資材を上げたのだろうか。 すごいね〜。 約6Km、1時間半ほどで歩いて下りられるそうだが、今日はご遠慮しておきましょう。

 山頂展望台からは雪を被った美しい南アルプスの峰々が眺められる。 あれは北岳? さすが日本第二位の山、ひときわ高くそびえている。 と言うことは身延山からは日本第一位と第二位の山を見ることが出来るのか・・・。

 下りのロープウェイからは優しい光を浴び、優雅な姿の桜の花が見えている。 今度はあの桜を愛でながら歩いて下るとしよう。

 のんびりと歩き始めると道路沿いにたくさんの宿坊があり、各所に見事な枝垂桜の古木が見られる。 樹齢は300年くらいだそうで、このあたりを西谷と言うそうな。

 路地のような狭い道の所々に咲く満開の枝垂桜、建物やお墓に寄り添って咲く桜の花、それらがとても調和が取れているように感じられ、一種独特の雰囲気を醸し出している。

 各々が異なる風情を持ち合わせている桜の古木、そして風に吹かれてそよぐ桜の花、風流を感じながら、そして優雅な気分を味わいながら、暖かな日差しを浴びて下ってゆく。

 のんびりと、そしてゆっくりゆっくり、ようやく三門に到着した。

 とても大きな門である。 さあ、あの階段を登ろう。 ところがばあさん、

 「ちょっと疲れたわ。 もうあんな急な階段、よう登らん。」

 その思いは私も同じかな? と言うのもこれは想定内で、実は乗り合いタクシーがあるのを知っていた。 そこで観光案内所へ。 親切なお姉さんに時間と乗り場などを教えていただき、待つこと10分ほど。 でも下のバス停から登ってきたタクシーは満員じゃん。

 こちらも親切な運転手さん。

 「上で降ろしてまた来ますから、少しお待ちください。」

 三門へ続く道は土産物店などが並び、乗用車のすれ違いにも気を使うほどの狭い道、なのに次から次へと登ってくる。 これでは期間中の土日に交通が規制されるのも当然のことだろう。 朝通ったはずだが、これほど混雑するところとは思わなかった。 やはり名所を訪れるのは早朝に限るようだ。

 タクシーを待つことなお10分ほど。 ようやく乗せていただきました。 運賃一人200円。 しかしこれだと待っている間に登れたかな?

 駐車場に戻ったのは11時過ぎ、と言うことは3時間以上身延山にいたことになる。 そんなには思わなかったから存分に楽しんだと言うことだろう。 その駐車場では満車で長い行列、やはり境内を抜けるのに40分ほど・・・まあ仕方がないか・・・。

 昼食はJR身延駅前の 「ゆたかや」 と言う食堂でほうとうをいただく。 1380円。 きしめんを太くしたおだんご? かぼちゃや野菜たっぷりの鍋焼きうどん? まあ、一応名物ですから・・・。


 富士五湖を目指して急な登りのヘヤピンカーブが続く国道300号線を走る。 到着した本栖湖からは頭に雲をかぶった富士山の姿。 その雲がなかなか動いてくれない。

 続いて精進湖、西湖と回ったがが、いつまでも雲がじゃまをしている。 この富士五湖は2度目。 前回は2月末だから精進湖のあたりには雪が残っていた。 そうそう、この精進湖から河口湖へ向かったのに道を間違え、あのオウム真理教で有名になった上九一色村まで走ったっけ。 さすがに今回は間違えることもなく、余裕たっぷりである。

 なに? 青木ヶ原樹海? こんなところにあるのか・・・。 しかしこんな標識あったっけ? 道を間違えたのが原因? それとも気が動転していて気付かなかった? う〜ん・・・。


 え〜? またケーキ? その時は全く知らなかったのだが、前回ケーキをいただいた西湖畔の 「マ・メゾン」 と言うお店、実はホテルだったそうな。 シックで落ち着いた雰囲気の喫茶ルームと、そこでいただいたケーキがお気に入りだったばあさん。 だから今夜はそこに泊まる?


 そうか、それで一泊すると言っていたのか。 身延駅前で食事をしたあと電話で予約していた。 なにも私のことを心配していたのではなかったのか・・・ちょっと勘違いしていたようだ。 この時期は春プランで一泊二食8500円。 それも魅力だった?

 チェックインを兼ねていただいたおいしいケーキとコーヒーに大満足のばあさん。 時間はまだ3時を過ぎたところ。

 「まだ時間がありますから、ちょっと出かけてきます。 5時か6時には帰ってきますから。」

 河口湖でも富士のお山の雲は取れず、一路山中湖へ。 今回は忍野八海へ寄る時間は無さそうだ。 前回行っているから、まあ、いいっか。

 山中湖対岸の高台からはようやくスッキリと雲が取り除かれた富士山の姿。 でも今度は逆光じゃん。 夕方だから当たり前? 山中湖からの富士山は朝に限る? でも水面がキラキラとお日様に輝き、なかなかの雰囲気である。

 これなら赤富士が見られるかも? と東富士五湖道路を利用して急いで河口湖へ引き返し待つこと30分。 でも思ったような赤富士にはならない。 そんな簡単に見られる代物ではない? いや少しはピンク色に染まった・・・かな?


 結局ホテルに戻ったのが6時過ぎ。 まずは夕食。 洋食のコース料理だったが我々にはちょうど良い量で、これで8500円はお得だろう。 静かな夜、それもそのはず、宿泊客は4組だったそうな。



白糸の滝 2007年3月27日(火)


 空には薄雲がかかっている。 テレビの天気予報では天気は下り坂、午後から雨が降る? おいおい、今日も良い天気ではなかったの? ならば雨の降る前に・・・と朝食後、すぐに飛び出した。

 ところが予報通りの曇り空、富士山はシルエットがかすかに見えている程度で、これではどうにもならない。 紅葉台と三湖台に行きたかったが諦めることにした。


 道の駅朝霧高原で一休み。 ばあさん、こけももソフトの味がお気に入りのご様子。 ケーキにソフトクリーム、これで思い残すことはない?

 だから? 富士国際花園はパス? それより焼津でおいしい海鮮丼? 今回お目当てのお店があるそうな。 まあ、ベゴニアは前回も、そしてその後あちらこちらで見ているし・・・花より団子?

 だが前回は行かなかった白糸の滝へは行ってみよう。 駐車場から10分ほどで到着。 大きな滝の周りに細く流れ落ちる水、いや滝が数十本? ふ〜ん・・・こんな滝もあるんだ・・・。


 その道中ににあったのが音止めの滝。 なに? 曽我兄弟にかかわる滝? ふ〜ん、そうなんだ〜。 まあ、あまり興味のないことだし・・・特にばあさんには・・・。

 時間は11時をまわったところ。 このまま富士インターチェンジから東名高速を利用して焼津へ行くとちょうど12時過ぎかな? でもまだお腹がすいていない。 ならば国道1号線を走り、高速料金を節約する?

 焼津で昼食をとるのは3回目。 最初は前回富士五湖へ行った2001年のこと。 帰り道、焼津市場食堂へ寄ると何のことはない、その日は水曜日でお休み。

 そして昨年の2月に再度寄ろうとして調べたところ、市場食堂を閉めて焼津駅の近くに移転、名前も 「魚いち」 として営業されているそうな。 なに? 月曜日が定休日? 行ったのが月曜日・・・ならばだめじゃん。 そこで止むを得ず焼津お魚センターで食事をした。 だから今度こそ、そのリベンジである。

 時間は1時過ぎ。 捜し求めてようやく到着したところ、なに? 臨時休業? 昨日の月曜日は営業していて振り替え休日? それはないだろ? どうもこのお店とはとことん相性が悪いようだ。

 「もう絶対にけえへんで〜。」

 とばあさん。 仕方がない。 今回もお魚センターで昼食にしよう。 しかし、たくさんあるお店の中でたまたまいただいた1500円の海鮮丼も結構なお味だったようだし、私が食べた1000円のお刺身定食もおいしかったから、まあ、いいっか。

 お魚センターのすぐ近くが高速道路の入り口。 時間は午後2時半をまわったところ。 さあ、ひとっ走り帰途につくとしよう。 待っていてくれたかのように小雨が落ちてきた。 7時前、無事帰着。 全走行距離、989Km。


 ところで山高神代桜だが、帰った翌日にネットで見てみると27日の時点で5分咲きだったそうな。 ならば行ってもよかったかな? でもやはり満開の神代桜を見たいし・・・。 来週だったら? そうなると身延山久遠寺の桜はもう遅かったかな?

 桜の見ごろに出会うことの難しさを改めて知らしめられた。 なんと厳しいことよ。


Back  Home