◇立山 PART-3 上高地 新穂高ロープウェイ 2000. 10. 19 (木)


 車をホテルに置き、平湯6時30分の始発バスに乗り込む。 さすがに乗客は1/3くらい。 バスは安房トンネルを通る。 やはり速い。 わずか20分で大正池に到着。

 上高地は夏山登山で何度か来ているが、いずれも河童橋から上で、大正池は車窓からの景色しか知らない。 

 雲ひとつない青い空。 研ぎ澄まされたような澄んだ空気。 これぞ上高地。 人が溢れる上高地など・・・と、馬鹿にしていた若かりしころの我が身を反省。 バス道から一歩踏み入れただけで早朝のさわやかな風とこの空気。 はや満足? やはり年のせい?

 正面には緑の林の向こうに色付いた山。 そして、その上には雪化粧をした穂高連峰がそびえ立ち・・・。 これが三段染めかァ〜。 背後には裸の焼岳を従え、鏡のような水面のキャンパスに周りの景色を忠実に、それも逆さに描いている大正池。 息を潜めつつ、だが、わずかに吐息が漏れたように水面が煙っている。

 あくまで静かにたたずむ田代池。 林の中に、霜で真っ白に化粧をした沼や木や草。 そして、その上にそびえ立つ六百山。 まるで幽玄の世界である。 苔むして、うっそうとした森を抜けると清流流れる梓川。 この一時間は、あっという間の出来事のようであった。

 程なく河童橋。 絵葉書そのままの、真っ白に化粧した穂高に手が届きそうだ。 出来ることならもう一度、北穂高小屋のテラスでさわやかな風を浴び、モーツアルトを聞きながら、おいしいコーヒーを飲んでみたいなァ〜。

 ホテルに戻り、これで心置きなく帰途につける。 しかし、しかしながらである。 あまりにも良い天気だし、時間もまだ10時。 また、遊び心がうずきだした。 

 乗鞍スカイラインは、いまだに通行止め。 どうやら今シーズンは終了になるらしい。 ならば、新穂高ロープウェーへ行ってみよう。

 アレレ〜、駐車場が混んでいる。 今日は平日、それも週の半ばだと言うのに・・・。 ロープウェーの待ち時間を聞くと30分ほどとの答え。 その程度なら・・・と、切符を買って並んだ。 だが、なかなか前に進まない。 山の神、いや女王様は痛くお怒りである。 キャンセルしようと言うが、せっかくここまで待ったのに・・・。 結局1時間30分近く待たされた。

 しかし、展望台からのコバルトブルーの空と、槍ヶ岳、穂高連峰、笠が岳など、360度の大パノラマが待っていてくれた。 私はこのロープウェーは三度目。 山も結構見てきたが、実際これほどの青い空に出会えることは珍しい。 長時間並んだ甲斐があると言うものだ。

 しかし、女王様の怒りはまだ治まっていないご様子。 これは困った。 召使としてはどうすればよいのか? オロオロ、オロオロ・・・。

 古川町から天生峠を目指す。 急カーブの連続と急勾配、そして狭い道が続くが、これでも一応立派な国道である。 私は山道が好きで、こんな道もあまり苦にならない。 だが、今は季節も中途半端なのか、景観は・・・?

 今度は白山スーパー林道へ。 頂上付近の紅葉は今が盛り。 結構、車も観光バスも多い。 だが、少しだけ未だに不機嫌なおばはんは 「フン、たいしたことはない。」 とのたまう。 観光バスの乗客は大はしゃぎしているというのにね〜。 そりゃ〜、立山や安房峠、上高地に比べればね〜。

 あまり美しすぎるものを見るのも良し悪しか? 高い通行料金が、何かむなしく感じられる。

 勝山を通過。 はや夕闇が迫って来た。