◇日光 PART-2 那須 日光 2001. 10. 17 (水)


 朝起きるとやはり雨。 窓からは山にかかる雲が目の高さに見え、手が届きそう。 仕方がない。 今日は東照宮だけを見て帰るとしよう。

 走り出した途端、奥方様は何を思ったのか突然、「那須の御用邸を見てみたい。」 と言い出した。 日光とは逆の方角だが・・・。 しかし、もはや急ぐ理由も無くなっている。 ならばと昨日の夕方に走った箒川沿いの道へ再度向かうことに。

 雨にもかかわらず、なぜか澄み切った水が流れている渓谷。 これは不思議。 吊り橋も何箇所かあり、他にも見所は多そうだが、何せこの空模様。 昨日Uターンしたところを過ぎると、何のことはない、すぐに道の駅湯の香しおばらの標識。 気を取り直して那須高原へ。

 牧場が続く道路沿いの畑の土は真っ黒で、やはりここは火山地帯である証か? コスモスの花が雨に打たれてかわいそう。 だが、静かな森の木々は雨に洗われ、生き生きと鮮やかな緑に蘇り、しっとりと美しい。 落ち着いた雰囲気に溶け込むようにレストランや博物館などがあまりでしゃばらず、控えめに並んでいるのがとてもいい感じ。

 ほどなく一軒茶屋前の交差点。 地図によると御用邸はこのあたりだが、いくら探してもわからない。 交差点の前にある無人の交番と、少し林に入ったところの細い地道の入り口にある進入禁止の標識がどうもそれらしい感じだが・・・。 御用邸と思われる林に沿って走ってみるが、すぐにゴルフ場の看板。 そしてその先には美しい林のトンネル。 仕方がない。 これは諦めよう。

 名前に引かれ向かったりんどう湖は遊園地で人影もなく・・・。 結局、那須高原のセンスの良さが感じられる佇まいと、しっとりとした雰囲気を味わっただけで再び来た道を塩原へ向かった。 あ〜あ、なんのこっちゃ〜・・・。

 塩原温泉は相変わらず小雨が降っている。 どうせ霧で見通しは悪いだろうが、日塩もみじラインを走ろうか。 黄色に染まった林の中は早くも濡れて落ちた葉っぱが道路の幅を狭くしている。 登るに従い、早くも晩秋の気配?

 だが峠を越え、下りにかかると視界が開け、思いもかけず見事に紅葉した山々が目に飛び込んできた。 あいにくの雨にもかかわらず割と遠くまで見通せる。 昨日見た磐梯吾妻スカイラインに負けず劣らぬ風景。

 通る車も少なく度々車を止める。 色鮮やかなもみじ越しに落ちている美しい太閤おろしの滝。 それからなお下って行くと、今度はまだまだ緑色をしたもみじの並木がどこまでも続いている。 もみじラインの名称に納得。 これらのもみじが色付くのは当分先になりそうで、頂上から麓まで紅葉を楽しめる期間は随分と長そうだ。

 鬼怒川温泉は通過。 今市から杉の大木が見事に並ぶ日光街道を走り東照宮へ。 しかし、駐車場がわからない。 人と車が多い中を20分ほどウロウロ。 早速入場券を買い、言われるまま前の庭園へ。 だが、何か変。 よく見てみると二社一寺共通拝観券と書いてある。 東照宮の駐車場はもう一つ、まだ奥にあるらしい。 傘を差し水溜りを気にしながら10分足らず歩いて改めて券を買い直す。 二人で600円の余分な出費。 ケチな、いや無駄使いが嫌いな奥方様は少しオカンムリ。

 40年近くも経つとやはり色もあせるのだろうか? 若いときに見た陽明門はもっときらびやかですごいと感じた記憶があるが、目の前の建物は思ったほど派手さはなく、かえって重厚な趣さえ覚えるのは気のせいか? あるいは歳のせい? だが、絢爛豪華に装飾された建物やそこに飾られているたくさんの彫刻など、さすがに美しく素晴らしい。

 しかし、雨を気にしながら一通り見終わった奥方様は、何か浮かない顔をしている。 「あんなに来たかった日光の東照宮はこの程度のものだったの? 皆が言うほどたいした事ないじゃん。」 と、ガッカリした様子。

 以前から奥方様は神社仏閣とか歴史上のもの、美術館や博物館、古い町並みなどにはほとんど興味を示さない。 美しい自然の山や海。 そしてそこに咲く美しい花。 それとおいしい食べ物。 特に新鮮な魚と甘いものがあれば文句は言わない。 私もほぼ同じであり、良くしたもので我々は似たもの夫婦である。 それに加えて二人ともドライブが大好きだ。 最も奥方様は、助手席でほとんど寝ているだけだが・・・。

 旅は人それぞれの目的と、人それぞれの楽しみ方があって良いものである。 我々とは反対に、お寺参りや歴史散策などを好む人も多い。 当たり前のことではあるが、今日、改めて今までに行ったところを思い起こし、初めて気が付いたような新鮮な気分である。

 国道沿いの喫茶店で遅い昼食兼コーヒーブレイク。 雨のいろは坂を登るが周りは何も見えない。 明智平も霧の中。 中禅寺湖の湖畔に着き、どうやら雲の上に出たようで、少し景色が見えてきた。

 念のため華厳の滝へ。 駐車場には結構車が止まっているが・・・。 また音だけ聞きに行っても仕方がない。 奥日光へ向かうとするか〜。

 中禅寺湖の手前の大きな鳥居のところで半月山展望台への小さな標識。 ガイドブックにも載っておらず、事前の知識は全くなかったのだが、なぜか引き込まれるように自然にハンドルを左に回していた。

 土産物店や食堂、旅館などが立ち並んでいる割には人影も少なく、少し寂しい湖畔沿いの道は、立木観音、遊覧船の乗り場を経て中禅寺湖スカイラインへ続いている。

 色付いた木々の間から時折見え隠れしている中禅寺湖。 雲の中から突き出た山々と、その下に広がる深い谷には鮮やかな紅葉。 通る車も全くなく、キョロキョロ、キョロキョロ。 道端に猿を発見。 びっくりしたが猿も驚いたらしく、谷の方へ逃げて行ってしまった。

 穏やかな男体山。 その広い山裾には大きな中禅寺湖。 そしてその上には、湖岸の紅葉を引き立てるように所々に小さな雲が浮かんでいる。 そんな中禅寺湖展望台からの眺めは、まさにメルヘンの世界だ。

 終点の半月山展望台では、小雨に差した傘が強風に吹き飛ばされそう。 しかしそこから見下ろした山は、どのように表現すればよいのか・・・。 絵の具、いやペンキの缶をひっくり返せばこのようになる? いやそれくらいではこうはならない? 

 つまり何が言いたいのよ〜。 それがわからない・・・。 とにかくカラフル、そして、とにかく素晴らしい。 もうこれで勘弁してよ〜・・・。

 今までに、こんなに近くでこんなに美しく色付いた山を見たことがない。 寒さに震えながらしばらくはじっと見つめて動けず・・・。 後ろ髪惹かれる思いで展望台をあとにした。 悪天候とは言え、この時期にこの道路がこんなに車が少ないとは・・・。

 中禅寺湖を左に眺めながらの湖畔のドライブ。 竜頭の滝にも立ち寄り、枯野が広がる戦場ヶ原を横切り、硫黄の臭いがたちこめる湯元温泉に着いたのは4時を過ぎ、早くも夕暮れが迫っている。 さて、どうする?

 このまま帰ろうか? しかし、日光の素晴らしい紅葉の余韻がまだ体に残り、何だかボーとしている。 ここは無理を避けてゆっくり体を休めたい。 取りあえず観光案内所へ。

 しかし、結構満室の宿が多い。 今日は何曜日? 何とかホテルを確保。 しかし18000円だと〜。 せめて15000円にしてよ〜。 料理を一品少なくすることで交渉成立。 ヤレヤレ・・・。

 相変わらず降り続く小雨と少し強くなった風がホテルの前の木々の葉を散らせている。 ロビーでお茶の接待をしてくれた女性が 「お客様のお気持ちが通じて、明日は雨もやむでしょう。」 と、うれしい事を言ってくれたが、天気予報は関東一円、明日も雨である。



日光へは2006年10月17〜18日に再訪。 その模様は
旅日記二日目 旅日記三日目 のスライドショーでご覧ください。