◇今年の桜巡り PART-1 和歌山編 2002. 3. 28 (木)


 今年はずいぶんと暖かく、桜の開花も全国的に例年より一週間から十日ほど早い。 桜の花が大好きな奥方様は気が気ではないらしい。 8時半過ぎ、遅番の仕事から帰ってきたおばはんは、「明日は良い天気だから、どこかへ花見に行く。」 と言い出した。

 我が家では朝刊だけで夕刊がないため花便りの情報がない。 この時間では電話で聞くことも出来ず、どこが見ごろか全くわからない。 私としたことが不覚にも不意をつかれ、今日ばかりはオロオロ。

 何とか花の本などを頼りに調べても、今年の開花はいつもの年とは違うだろうしね〜。  例年、一番早い紀三井寺はもう遅いだろうしね〜。 エーイ、もう諦めた。 こうなれば 行き当たりばったり、どこか近場でごまかしてしまえ〜。

 だが、10時半ごろになって、「そうだ、JRの駅に聞けば?」 と思いつき、ガイドブックで松江駅の番号を見つけ、松江城の桜の情報を聞いたところ、
「今日咲きはじめたところで、見ごろは一週間ほど先でしょう。」 
ならば、和歌山の桜は今が見ごろかもしれない。 ダメでもともと、取りあえず出かけてみよう。

 阪神高速湾岸線の助松から、臨海線で南を目指す。 通勤の時間帯を避け、5時半に出発したため渋滞もなく、きわめて順調。 天気も上々、快適である。 関西空港を右に見て間もなく、青い空と張り合うように美しい海が広がってきた。 ここまで来ると大阪もまんざら捨てたものではない。

 山中渓へ寄り道。 JR阪和線の山中渓駅の南側の線路沿いにたくさんの桜。 それが全部、見事に満開。 この時期の通勤客は、さぞかし心を癒されることであろう。

 やがて峠を越えると和歌山県。 岩出町から和歌山市内へ。 今度はちょうど通勤時間帯。 やはり車は多い。 市内を抜け、ほどなくその中腹にピンクの折り紙を貼り付けたような、濃い緑のこんもりとした森が見えてきた。

 駐車場から山の斜面に咲いている満開の桜に後押しされながら、急な坂道を登って行く。 高台に立つ紀三井寺の境内は思いの外こじんまりとしていて、まだ参拝の人も少なく、鳥の声だけが大きく響き渡っている。

 雲ひとつない青空。 正面の本堂を包み隠すように満開の二本の桜の大きな老木が今が盛りと誇らしげだ。 見下ろせばピンクの絨毯。 その先には、市街地の向こうにキラキラと輝く青い海。 聞けば、やはり満開になるのが一週間ほど早いらしい。

 紀三井寺の満開の桜に満足そうな奥方様の顔。 その横顔に昨夜の決断を誇らしく感じながら、和歌山城から根来寺、粉河寺へと花めぐりを続けるが、どこも満開。 その上この天気。 今日はこれ以上ない花見日和である。

 和歌山城では天守閣を取り囲むように、埋め尽くされた満開の桜。 屋台が並び、早くも場所取りのシートが敷かれている。 根来寺は人も車も多く、何かほこりっぽく、なんとなく落ち着かない。 反対に、粉河寺では人もまばらでしっとりと落ち着いた雰囲気。 小さな枝垂れ桜も可憐でかわいい。

 道中は桃畑が多く、少し濃い目のローズピンクの花が、こちらも負けずに満開。 その上とてもあでやか〜。

 国道沿いの、桃の花のローズピンクと、これも満開の菜の花の黄色に囲まれたこの上ない雰囲気に誘われ、ファミリーレストランで昼食をとる。

 ここまでは予定通りだが、あとのことは考えていなかった。 美里町にある山の中の温泉にでも行くか? だが、時間はまだ1時前。 ならば竜神温泉まで行っちゃえ〜。

 紀ノ川を渡った桃山町は、その名の通り一面桃の花で埋め尽くされている。 桃源郷とはよく言ったもので、まるでローズピンクの絨毯の上を走っているみたいだ。 これはまさに別世界、いや、極楽浄土?

 いつもはトロンとしている奥方様の目が輝き、キョロキョロ、キョロキョロ。 よく見ると桃の花にも微妙に濃淡もあり、雰囲気も異なっている。 桃畑も少なくなり、いよいよ山道に差し掛かる。

 おばはんが突然、 「桃源郷はどこにあるの?」 「今通ってきただろうが。」 「・・・???・・・。」 桃源郷を桃源峡と思っていたの? それって、マジ〜?

 いくつか峠を越え、清流流れる日高川に沿って走ること2時間。 やっと到着した竜神温泉は静かな山の中の川沿いにあり、ひっそりとしている。 だが、日帰り入浴施設の竜神温泉元湯へ行きびっくり。 どうしてこんなに人がいるの〜?

 さすが日本三美人の湯で名高い温泉だけのことがある。 湯が肌にしっとりとまとわりつき、ツルツル、スベスベ。 この温泉に毎日入浴できる人がうらやましい。

 帰り道をしっかり聞いたつもりが、なんと勘違い。 とんでもない県道に・・・。 曲がりくねった狭い山道の連続。 峠も数箇所。 いかに山道が好きな私でも、これはかなりハード。 しかし対向車に会わず、これはラッキー? どうにかこうにか十津川温泉到着。 フウ〜・・・。

 早くも夕闇が迫っているよ〜。 ここから我が家までは、まだまだ遠い。