◇東北 PART-3 八甲田山 奥入瀬渓流 2002. 10. 8 (火)幸運にも空は晴れている。 風も治まったようだ。 朝食後、駐車場の水道とホースを借りて洗車。 9時始発のロープウェイに乗るため8時過ぎにチェックアウト。 早くも駐車場には十数台の車が止まり、登山などの準備をしている人もいる。 だんだん並ぶ列が長くなってきた。 大きなリュックサックを持った重装備の人もいれば、スカートやハイヒールの少し心配な人も見られる。 我々はスニーカーにジーパン、防寒用のジャンバーにナップサックと、一応それなりの格好はしている。 始発のロープウェイが到着。 従業員が中から鉄のおもりを下ろし始めた。 それも5人の男が5分以上かかるくらいのかなりの量。 昨日の風に耐えるには、それくらいの重さが必要と言うこと? 満員のロープウェイは高度をグングン上げてゆく。 左に津軽半島、右に夏泊半島。 両半島にはさまれる様に青森湾を前にした青森市の市街が朝の光に輝いている。 緑が美しい牧草地も数多く見られるが、それをゴルフ場と間違えるのは、この地になじまない人間の証か? 中間地点に差し掛かる。 周りは一面黄金色。 いや、もっと重みのある色か? 何とも言えない素晴らしい紅葉の海・・・。 夢見心地の数分間のすぐあとに、今度はガス。 全く視界がなくなった。 この変わりようは・・・。 まだ心の整理も出来ず、信じられない思いのまま終点到着。 気の早い4人のグループはそのまま下りると言い出した。 乗車券のことがあるのだろう、係員は改札と連絡を取るなど右往左往。 待合所にはストーブがたかれ、人だかりがしている。 外は風が強く、かなり寒い。 濃い霧の中、早くも登り始める人も多いが・・・。 しばらく様子を見ていたが、霧が晴れる気配はない。 仕方なく八甲田ゴードラインの20分のコースを歩こうと飛び出した。 コースは比較的平坦でよく整備されており、歩きやすくて迷うことはないが、2mほどの高さの木々の中の道からは、霧が晴れたとしても見晴らしはほとんどない。 展望台が近くなり細かい雨が落ちてきた。 たいしたことはなさそうだが、山の天気はわからない。 それなりの格好はしてきたが、ナップサックの中身はお菓子とお茶だけ。 愚かにもほどがある。 私としたことが、一番大事な雨具の用意を忘れていたとは・・・。 ああ〜、はずかしい。 展望台へはあと5分くらいの距離らしいが霧が晴れる保障はなく、それより今は雨のほうが心配である。 この時期の雨は急激に身体を冷やす。 ここで奥方様に風邪をひかせる訳にはいかない。 あと300mの標識を見て、展望台とは反対のロープウェイの乗り場へ急ぐことにした。 半分ほど歩いただろうか? 雨が上がり一瞬雲が消え、木の間隠れの下の方に毛無岱の美しい湿原が現れた。 先日買った雑誌のきれいな写真を思い出す。 ベージュ色でもなくオレンジ色でもない・・・何ともいえない素晴らしい色の絨毯、いやビロード?のような草原と、その空間に沼の水が光っている。 あわててカメラを取り出したが、二回もシャッターを押せただろうか? 瞬く間に雲の中。 これは夢ではない。 ならば神様のプレゼント? 待合所のストーブで温まり、二階の食堂で休憩。 ガイドブックに紹介されている山ぶどうのジュースを飲んだ奥方様は、「ファンタグレープの味がする。」 とあまり良い顔はしていない。 次のロープウェイで下りたが、駐車場から見上げると雲は間もなく晴れそうだ。 我々は一番悪い時間に登ったらしい。 酸ヶ湯温泉から地獄沼、笠松峠から睡連沼。 今日は比較的のんびりしている。 朝夕は仕事の車も多いのだろう。 この時間は観光の乗用車ばかりで、急いでいる様子はない。 谷地温泉から田代高原へも、もう一度走ってみる。 昨日の、日が傾いた柔らかな日差しの中の風景も風情があり、十分に楽しんで感動をしたものだが、今日はお昼前の高い太陽に照らされて全てが輝いている。 同じ紅葉や風景だが、違った姿を二度にわたり見られた我々は幸せ者である。 名前とは裏腹に華やかな地獄沼。 少し落ち着いた風情の睡連沼。 ススキが美しく揺れる田代高原。 八甲田連峰の雄大な眺め。 変化に富み、個性豊かな山、そしてそこに広がる素晴らしい紅葉・・・。 やはり紅葉劇場八甲田編は裏切らなかった。 いやそれ以上の感動を与えてくれた。 40年前の願いがやっと叶い、再びこの地を踏みしめることが出来たことを素直に喜び、ここまで支えてくれた人、全てに感謝したい。 谷地温泉から、今度はブナのトンネルの中へ。 どこまで下るの? 周りはまだまだ青い葉ばかりのうっそうとしたブナの森。 深い谷底まで行くの? 曲がりくねった下り坂はまだ続いている。 突然現れたこの薄暗さと先ほどまでの晴れやかな景色。 この落差はなんとしたこと? ようやく夜明けのようにうっすらと明るくなってきた。 木々の間から覗いている少しばかりの空。 どうやら蔦温泉らしい。 しかし、蔦沼など全く見えなかったぞ〜。 ならば歩くしかないじゃん。 雲が随分多くなってきたようだ。 蔦沼までは10分ほどの静かな森の中の散歩だが、澄み切った水が流れる川とそこに浮かぶ枯葉が何とも良い雰囲気。 春には水芭蕉が咲くらしい。 突然視界が開けた。 大きな森に包まれた蔦沼は、あくまで静かであくまで清らかである。 風の音もなく、湖面を揺るがすわずかなさざなみの音が聞こえてきそう。 蔦温泉旅館のパンフレットに載っている絵画のような紅葉をぜひ一度見てみたいものだが、色付くのはまだまだ先になりそうだ。 設置してある木造の遊歩道は、この雰囲気にぴったり。 道の真ん中に開けられた穴から木が伸びている。 そうか、ここでは木のほうが先輩? なるほど・・・。 大町桂月が愛したと言う蔦温泉旅館は、森の中に溶け込むようにどっしりと建っている。 だが、ここまで有名になるとやはり人は多い。 天井が高く、木のぬくもりが感じられる湯舟。 木造の落ち着いた雰囲気の温泉を楽しませていただく。 時々体に沿って澄み切ったお湯に小さな泡? こんなきれいなお湯の中で、粗相をした覚えはないが? そっと周りを見回した。 どうやら底に敷かれた板の隙間からお湯が湧き上がっているらしい。 あ〜、よかった〜。 ほどなく焼山到着。 久し振りに見るガソリンスタンドの看板が新鮮に感じられる。 なぜかホッとするのも、この時代に生きる者の性か? 奥入瀬渓流センターで昼食とお土産を物色。 ガイドブックに載っているお菓子を探すが見つからない。 若い店員さんに聞いたが無いとの答え。 仕方なくほかのものを物色中、その娘さんはわざわざ我々を探し、「以前は置いてあったが、その業者とのトラブルから今は置いていないそうです。」 と聞いてきてくれたらしい。 暇なときならいざ知らず、周りはお客さんが溢れていると言うのに・・・。 この親切さに気を良くしたのか? おばはんは大きな紙袋二つに入りきらないほどのお土産を買っている。 当然ながらおいしそうなりんごパイなど、自分自身へのお土産も含まれているが・・・。 可愛そうに一週間用の大きなバッグはトランクから追い出され、後部座席へ。 トランクのほうがゆっくり眠れたのに・・・と言ったかどうかは知らないが・・・。 いよいよ奥入瀬渓流へ。 車で通過するだけでなく、一度歩いてみたい。 だが、全コースを歩くほどの時間も無く、また体力にも自信が持てない。 石ヶ戸の道路沿いの駐車スペースでは、数台の観光バスが道路まではみ出している。 これが休日ならば大変な渋滞? JRの路線バスの停留所の時刻表では14時17分に十和田湖行きがある。 今の時間は14時を過ぎたばかり。 ならば二つ目の停留所の雲井の滝まで乗り、歩いて帰ればちょうど良いではないか。 しかし、バスはなかなか来ない。 少しばかり心配になり、もはや限界・・・の20分も遅れたワンマンバスは、名所などで徐行。 時には停車して運転手が流暢にガイドしてくれる。 確かこのバスは青森発十和田湖行きの路線バスであったはず。 「JRも変わったものだなあ〜。」 とあまりバスなどに乗ったことが無い我々には新しい発見であるが、これでは遅れることもやむをえない? 10分ほどのバスの旅を楽しみ、雲井の滝で下車。 周りはとても薄暗い。 木の間隠れにわずかに見えている空は、何だか雲行きが怪しくなってきてようだ。 うっそうとした森の中に激しく流れ落ちている滝の水だけが、やけに白く見えている。 車道と渓流にはさまれた歩道は所々ぬかるみ、時には車道を歩かねばならない。 苔むした岩や木。 色付くには早く、まだまだ緑溢れる美しい森。 見上げる空は時には木々の切れ間から明るく覗き、時には覆われ薄暗く・・・。 流れる水は時には穏やかに流れ、時には激しく・・・。 阿修羅の流れ、九十九島など、変化に富んだ渓流と、しっとりとした空気の森林浴を楽しみ、50分ほどで石ヶ戸へ。 すぐ横を走っている車は多少気にもなるが、おおむね快適。 そりゃ〜、無いに越した事は無いが・・・。 今度は迷惑をかけながら? 十和田湖へ。 歩いている人や自転車の人は、そんなに多くない。 銚子大滝は一段と薄暗くなった森の中、激しい音をたて、水しぶきを上げながら豪快に流れ落ちている。 わずか数メートルの高さだが、幅もあり迫力満点。 周りの暗い雰囲気と激しく流れる白い水。 このコントラストがいい感じ・・・。 子ノ口では雨が降ったらしく、道が濡れている。 風が強く、人影も見えない。 桟橋には無人の観光船。 十和田湖の水面には小さな波が立ち、空の色を写してか、なにか冴えない色。 その上、濁っているようだ。 霧雨が降る瞰湖台からのぼんやりとした眺めにガッカリ。 紅葉が美しい中山半島もまだまだ緑ばかりが目立ち、色付くのは随分先になりそうだ。 40年前はこんなものではなかったが・・・。 今日の宿は休屋にある国民宿舎十和田湖温泉である。 一泊二食6300円。 電話をしたとき少し驚いた。 これではおいしい食事など期待できない。 山の神に聞いたところ、「たまにはそんなところもいいじゃん。」 と意に介していない様子。 いや大蔵大臣としては渡りに船? だが良く考えてみれば、毎日おいしい料理をいただいていると身体に良いわけはなく、たまには粗食にしなければならない。 ならば、ちょうど良いかな? 案の定、この二日間で体重は増えてきたようだ。 お互い、ホテルの体重計が狂っている・・・などと言い訳をしているが、ダイエット中の二人には一大事! 二階建ての古い建物と小さな部屋。 壁も薄いらしく外の物音が響き、やはりそれ相応であろう。 風呂も温泉を運んでいるらしく、循環湯? 名物のヒメマス料理もダイエット食にはちょうど良く、休肝日としてビールも控えた。 夜、うるさければ困るな〜。 だが、それも杞憂に終わり、とても静かァ〜。 ぐっすり・・・。 この値段でこれなら満足できる。 部屋にトイレさえ付いていれば・・・。 これは贅沢? 東北各地には2007年10月に再訪。 その模様と写真は |
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