◇東北 PART-5 小岩井農場 北山崎 2002. 10. 10 (木)


 5時半に起床して準備を始める。 夜半降っていた雨もあがったようだ。 運動不足解消のため、一時間ほど朝の散歩をしようと昨夜フロントでコースを教わった。 本音は増えつつある体重が気にかかる?

 6時を過ぎ、いざ出発。 なによ〜、また雨? やむを得ず行く先を大浴場に変更。 これではいつもと同じパターンじゃん。 こりゃ〜だめだわ〜。 だが温泉もこれで入り収めである。 これから向かう三陸海岸沿いに温泉はない。

 昨夜お世話になったご兄弟夫婦は連泊されるらしい。 遅い朝食中に岩木山のりんごジュースを差し入れし、お礼と挨拶を済ませ出発。 雨が降ったりやんだりしている。

 盛岡へ向かう国道は通行量が非常に少ない。 最近出来たばかりらしい道の駅雫石あねっこには農家直売の野菜が並び、生産者の写真が張ってある。 奥方様のパート先は八百屋だが、新鮮さと安さは驚きらしい。 実際これほど美しいキャベツは見たことがない。 どうやら雨もあがったようだ。

 今朝からどうも右手の人差し指の付け根辺りが痛い。 持病の腱鞘炎が出たようだ。 季節の変わり目によく肩が痛くなり熱が出るが、たまに手の指に出ることがある。 手の指なら多少熱も出るだろうが、たいしたことではない。 持参した湿布を取り出し、患部に貼る。 ここまでいたって順調。 とても楽しく何の疲れも感じてはいないが、体は正直だということ?

 向かった小岩井農場への道中、岩手山の裾野にかかった雲が虹のような美しい色をしてたなびいている。 そうかあ〜、これが彩雲か〜。

 昨日、藤七温泉彩雲荘の掲示板に新聞の切抜きが張ってあり、地元の人が撮った写真を 『これが彩雲荘の名前のルーツです。』 と紹介してあった。 見る機会は少なく、この写真も撮るのに苦労した・・・とのコメント。 地元の人も知らない人が多いらしい。

 小岩井農場はとても広い。 緑の牧場にたくさんの牛を見てからかなり走っている。 まだ9時少し前。 こんなに広いところで人が少ないと、何だかきまりが悪そう。 しかし、到着した小岩井農場まきば園の駐車場には、何のことはない、観光バスがずらりと並び、自家用車もかなり多い。 面目ない。 これは失礼なことを考えていた。

 入場するなりおばはんはソフトクリームめがけて一直線。 おいしい、おいしいと舐めながら・・・。 もう〜、いい加減にしなさい。

 まきば園は大きな小岩井農場のほんの一部だろうが、とても広い。 牛や羊がのんびり遊ぶ牧場。 乗馬やアーチェリーなどの遊具施設。 若者がバレーボールを楽しんでいる広い芝生。 正面には大きな岩手山が雲に見え隠れし、赤い花が咲き、周りの木は少しばかり色付き始めている。

 小さな子供連れの若い夫婦。 遠足に来た生徒たち。 彼等なら一日中ゆっくり遊べそう。 シープ&ドッグショーを見ていると、またも雨。 雨宿りの休憩所でおばはんはまたソフトクリーム?・・・と思いきや、今度はヨーグルト。 おいしい、おいしい・・・だと〜・・・。 ちょっと食べる? いや、結構です!

 車に戻ると、「もう温泉はないの?」 と寂しそうな女王様の顔。 こうなれば、ここは執事の腕の見せ所。 急ぎ観光協会に電話。 数ある立ち寄り湯のなか、手ごろな料金の繋温泉、ホールサムインつなぎで一風呂。

 これが本当に最後の温泉である。 湯上りの汗を冷ましながら、盛岡からのおじいさんとおしゃべり。 奥さんの腰が悪く、一週間に一回このお湯につかると具合が良いそうだ。

 昼食にお寿司でも・・・と聞いたところ、盛岡と言えばやはり冷麺らしい。 そこでガイドブックにも載っているぴょんぴょん舎へ。 どうせ国道沿いのラーメン屋だろ?

 ところが到着して驚いた。 大きな建物に広い駐車場。 これは立派なレストランではないか。 お昼時でもあり、駐車場も店内も満員。 順番待ちの客が並んでいる。 待ち時間は15分ほどらしい。 ならばと名前を書いて待つことに・・・。

 出てきた冷麺は飴色をした少し太めの麺で、腰が強く、噛み切れないほどだが、のど越しがよく、ツルツルといくらでも食べられそう。 自分で調節できる唐辛子とキムチが良く絡み、このおいしさはたまらない。 奥方様がセットで注文した石焼ビビンバがまたうまい。

 最初に説明してくれた若い女性の店員さんは、我々が関西人だとわかっていたらしく、心配そうに、「いかがでしたか?」 と聞きに来てくれた。 「もう、癖になりそう。」 との答えに、本当にうれしそうな表情と可愛い笑顔。 また心が温まる。

 雨はまだ降ったりやんだり。 低い雲が空を覆う盛岡をあとに、一路太平洋を目指す。 山道の先に岩洞湖が見えてきた。 周りの山は見事な紅葉。 それも早坂峠付近までおよそ10Km以上続いている。 
「もう紅葉は終わりだと言っていたのに〜。」 と奥方様は皮肉たっぷり。 だが目は笑っている。

 ここはどのガイドブックにも載っていないぞ〜。 何か得した気分。 だが、こんなの予定していなっかたよ〜。 車を止めていると遅くなってしまうじゃん。

 紅葉見物は奥方様に任せるとしよう。 ここは我慢して運転に集中。 ところが、早坂高原付近で奥方様の大きな歓声。 ついにブレーキを踏んでしまった。 周りはえも言われぬ見事な紅葉。 だが、せっかく追い越した遅いダンプカーにまた先を行かれたじゃん。 トホホ・・・。

 峠を越え太平洋が近くなるにつれ、天気もだんだん良くなってきた。 気象条件も変わってくるのだろう。

 到着した北山崎では青い空も見え、虹もかかっている。 三百数十段の階段を下った展望台からの眺めに息を呑む。 どこまでも変化に富んだ断崖絶壁が続き、迫力満点である。 ところどころには波に削られた穴。 風は弱く海は穏やかなはずだが、赤茶けた岩に砕ける波が白く光っている。 見渡す限りの紺碧の海、遥か遠くに水平線がくっきりと浮かび上がって見えている。

 今日の朝いた田沢湖高原は秋田県。 実質4時間ほどかけて山から海へ、岩手県を東西に横断したわけだが、さすがに広く、奥が深くスケールもでかい。

 5時が近くなり夕闇が迫っている。 日の出日の入りが近畿よりは20〜30分は早いらしい。 海沿いの道から青い海と緑の森に包まれた白い大きな建物が見えてきた。 料理を含め、この旅で一番期待しているホテル***である。

 このホテルは第三セクターの、半ば公共の施設だが、一泊二食一人14000円。 公共の宿にしては、かなり良い値段? 最初に泊まったグランメール山海荘と同額、昨夜の公共の宿、休暇村田沢湖高原は9800円であった。

 送ってもらったパンフレットには海を前にしたきれいな建物、美しく輝く朝日、ザルに満載の新鮮な魚貝類と舟盛りなどの写真。 それと予約時の期待を持たせてくれる話し振り。 これはおいしい魚が食べられそうで楽しみである。

 一風呂浴びて、向かった食事どころは・・・。
なに? 大広間? 向かいの広間では宴会の賑やかな声。 目の前のほとんど揃えてある料理も何か宴会食のようだよ〜? どうして頼んだビールと一緒にウニご飯と味噌汁が出てくるの〜?

 わずかばかりの刺身と小さな蒸しあわび、田舎料理のような魚の煮つけやあえもの、田舎ソバや大きな椀の汁物など・・・。 品数だけを揃えればいいと言うものではなかろうが! 具の中身を含めてとてもおいしいとは言えない。

 なに? ホヤ貝にマンボウ? 我々は何もこんなに遠くまで珍味を食べに来た訳ではない。 網焼きのホタテも食べられたものではなく、その上、イカとエビには湯どうしまでしてある。 もうこれは話にならない。

 食いしん坊の我々としては珍しく食べ残し、そそくさと席を立つ。 文句の一つも言いたいところだが、今はその気にもならない。 いや言っても何も始まらない。 逆に言った方も後味が悪くなるだけだろ? 箸すら持ちにくくなっていた腱鞘炎がやけにうずきだし、ひざまで痛くなってきた。

 一時期日本中でブームになり、第三セクターなる施設がたくさん生まれた。 中には成功しているところもあるのだろうが、ほとんどは赤字に陥り、頓挫した話も良く聞く。 これは競争原理のない日本の役所仕事の姿であろう。

 このホテル***でも、近辺には民宿くらいで大きな旅館などはなく、そこそこの売り上げさえあれば多少の赤字は役場が何とかしてくれるだろうし、最終的には税金や補助金が何がしかの理由をつけて助けてくれる。 それより村民を雇用し、村の産物を消費することのほうが大事な事柄なのだろう。

 そんなところに他のホテルの料理を研究し、おいしい料理で客をもてなす・・・などと言う発想は起こりえない。 建物をそこそこに美しく管理し、食中毒や客とのトラブルなど問題さえ起こさなければそれで良い。 いざと言うときに申し開きをするための14000円であるのか?

 普通の人間なら収入が減れば何とか生活を切り詰める。 中には悪事を考える者もいるだろうが、それはほんの一握りに過ぎない。 私も商売をやめたときには夜遊びやゴルフなどきっぱりとやめ、車も処分した。 奥方様も頑張ってくれ、今でも大いに感謝している。 入ってくる物が少ないのだから、当然のことである。 現在も多くのサラリーマンや商店主などの苦労を考えるだけで忍びない。

 だが役人や政治家と言う人種はそんなことは考えない。 出て行くものには手をつけず、何とか収入を増やそうとする。 それも簡単な方法で・・・。 取り易い所からは増税し、新税をひねり出し、それでも足りず借金をする。 現在それが積もり積もって、日本全体で700兆円。 当然利子もついてくる。 と言うことは? 考えるだけで恐ろしい。

 債券を償還するために、また債券を発行しなければならない。 世間ではこれを自転車操業と言い、民間の会社ならとうに破綻している状態であるが、彼らにはわからないらしい。

 東大卒の、これだけ悪知恵が働く優秀な頭脳を持った人間には、こんな簡単な世俗の事例は単純すぎて理解できない? いやいやもっと単純に・・・。 小学生が思いつくように、いざと言うときにはお札を印刷すればいいじゃん?

 最初に国債を発行するに当たり当事の与党の長老は、償還の方策などについての記者の質問に、「そのときに俺は、もう生きていないよ〜。」 とうそぶいたという話である。 その無責任さと無神経な人間性には、怒りを通り越し悲しくさえ思えるが、事実、これが彼らの本音であろう。

 借金を背負わされた後世の国民はたまったものではない。 だが、その金に群がる一部の企業や国民がいることも事実であり、こういう事が長年まかり通っている日本と言う国は、いずれ破綻する運命の坂道を下っているのかも知れない。

 国会議員にも政党ごとに政治資金として税金が支出されているが、私に言わせれば、あれは立派な詐欺行為である。 企業献金をなくする見返りに作った法律ではなかったのか? ところが現実は、名前や方法を変えただけで中身は何も変わっていない。

 この世知辛い世の中何も下心がなく、金を出す者はいないのでは? 貰うほうも何がしかの気持ちが必ずあるのでは?

 貰った皆さんは無いと言い張るが、それでは聞きたい。 何も無しにお金を頂戴? ということは、あなたは乞食? それが言いすぎなら、あなたはよほど無神経なただの厚かましい人?

 乞食でも恩義は感じるだろうし、如何に厚かましい大阪のおばちゃんでさえ、もう少しは人情の機微に触れることが出来ると思いますがね〜。

 ザル法、拡大解釈。 そんな法律にはもううんざり。 何とかならない? これ、正直な気持ち・・・。 これでは子供たちも見習って、悪くなって行くのも仕方がない?