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◇関東 PART-1  富士山 箱根 九十九里浜  2003. 9. 8 (月)


 奥方様の遅い夏休み、それも五日間である。 今の店に変わってから勤務体系も変わり、週に二日の休日も連休ではなく、今までのように簡単に出かけることも少なくなった。 もちろん通勤にも時間がかかり、疲れも予想以上であろう。 無理はしてほしくはないのだが、彼女の性格では何事も適当に出来るわけもなく、私の意見に耳を傾けるようなお方でもない。

 当然どこかへ出かける予定らしく計画をたてるように言われていたのだが、どちらにせよ何か中途半端な時期でもあり、その上天候に恵まれなかった今年の夏の反動からか、9月に入り真夏が戻ってきたようで、旅行をするにはあまり良い季節とは言えない。

 とりあえず、長崎、雲仙、天草を巡る北九州の旅。 ビーナスラインから美ヶ原、軽井沢、草津、志賀高原、黒姫高原のコスモスを巡る信州の旅。 それと富士箱根、房総、伊豆。 三つの案のうち彼女は富士箱根、房総、伊豆を選択。 だがここに来て関東地方の天気回りがあまり良くない。 彼女が一番楽しみにしている富士山も見えないかもしれない。 不安の多い出発である。

 いつもの通り国道と深夜無料のバイパスを走る予定であったが、珍しいことに2万円分のハイウェイカードを買ってきてくれた。 年齢のことも考え、私のことを少しばかり気遣ってくれたらしい。 東名高速の富士川サービスエリアで仮眠を取るうちに夜が白み始める。 天気予報通り雲が多く、富士山の姿はない。

 やはり高速道路は早く、運転も楽である。 気のせいか深夜の東名高速は通行量が少ないように感じる。 最近、民主党の菅代表が高速道路の無料化をうたい文句にしているようだが、そうなれば通行量も増え、当然事故も多くなる。

 今日も通ってきた名阪国道は制限速度60Kmの自動車専用の国道だが、そんな速度で走っている車などなく、通行量も非常に多い。 特に深夜はトラックが多く、走るには恐怖を感じることもしばしばだ。 たまに覆面パトカーもみられ、つかまれば何キロオーバーになるのか? 考えるだけでも恐ろしい。

 当然大きな事故も多く、道路工事を含め一度渋滞になるとそれは半端ではない。 高速道路が無料になることはほとんどが名阪国道のようになることを意味し、それが良いことか? 一概には判断が出来ないような気もする。 せめて半値にでもなればずいぶんと利用しやすくなり、我が家の大蔵大臣もあまり文句も言わなくなりそうだが・・・。

 富士山スカイラインも霧の中。 それもだんだん濃くなってきた。 仕方がない。 ここまで来たのだから一応富士山の5合目までは行ってみよう。

 しかしそれは突然のことであった。 目の前に真っ青な青空。 それと深い森の上に赤茶けた色の穏やかでなだらかな稜線の富士山。 こんなことが起ころうとは信じられない気持ちと感謝する気持ち、そして何か複雑な気分である。


 まだ朝も早く、通る車もほとんどないことを良いことに道路際に何度も止め、カメラを構える。

 標高2400mの5合目には、結構たくさんの車が駐車してある。 風はほとんど感じないが半袖では寒すぎて、慌てて長袖を重ね着する。 周りに人の姿は見られない。 若者が一人下山してきた。 聞いてみると9合目まで登ってきたそうだ。 と言うことは、この車の人は全て登山者ということ?

 そう言えば今まで見ていた富士山より、ここからの富士山はすごくなだらかに見え、簡単に登れそうだ。 黒くて小さな石を一面にばらまいたような斜面が、遠い昔にあった火山活動を思い起こさせてくれる。 その斜面に点在する美しいまだら模様。 すぐ近くにも同じものが見られ、低い小さな木と枯れた葉が素敵な光景を演出しているらしい。

 下界には素晴らしい雲海が広がっている。 それが日の光に輝き、この上ない光景に心が躍る。 ふわふわといろいろな顔を見せてくれる雲に飛び込み、抱かれて寝てみたい気がする。 吸い込まれそうな青い空、穏やかで美しい富士山、それとこの素晴らしい雲海・・・。

 これ以上ない光景に、来て良かった〜とつくづく実感する。 

 そのおかげで箱根は雲の中。 スカイラインからの芦ノ湖も全く見えない。 これは当然のことか? 富士山が見えない箱根は魅力が半減する。 予定していた駒ケ岳ロープウェイを諦め、箱根湯本まで下り、箱根ベゴニア園の見学に変更。


 大学駅伝の箱根の山登りの過酷さに改めて驚かされ、到着したベゴニア園は今まで見たものより規模はかなり小さいが、それでもやはり花は美しく、見ていると心が休まる。 


 観光客が溢れる湯本でそばとうどんの軽い昼食。 あとは西湘バイパスを皮切りに有料道路をフルに利用して、一路房総半島を目指した。

 やがて湾岸線へ。 助手席のおばはんはいつもの通り気持ちよさそうに熟睡中。 横浜ベイブリッジに差し掛かり起こしたが、わずかに眺めただけでまた眠ってしまった。 高いビル群、そして湾内には多くのクレーンなどが見られるが、これ位なら大阪の湾岸線のほうが景色は良さそう? やはり見所は夜景なのだろう。 しかし阪神間の夜景も素晴らしいものではあるが・・・。

 東京湾アクアラインのトンネルを抜け、海ほたるに到着。 やっと目覚めたおばはんは、「ここはどこ? どうしてもっと早く起こしてくれなかったのよ〜。」 だと〜。 それはないやろう?

 海ほたるは海上に浮かんだ巨大な船のようだ。 海は穏やかだが曇り空に見通しはあまり良くない。 食事どころや土産店なども多く、観光客も結構来ている。 話のネタに一度は訪れても良さそうではあるが・・・。 これではリピーターを獲得するには少しばかり魅力が足りない?

 この道路は何のために作ったの? 産業道路? 観光用? それとも生活道路? それにしては通行料3000円とは高くない? どちらにしても何か中途半端な気がする。 

 九十九里有料道路は海沿いを走っているのに防風林などで海がなかなか見えない。 今日の宿、国民宿舎サンライズ九十九里が近くなり、ようやく大きな太平洋が目に飛び込んできた。 ホテルに入る前に少しばかり海辺に寄ってみる。

 広い砂浜にたくさんの車。 多くの若者がサーフィンを楽しんでいる。 それもそのはず、波が結構大きい。 聞くとこれでも今日は穏やかなほうらしい。 当然ここは海水浴場であり、夏場は海水浴客と一緒だという。 何か危険に思えるが・・・。 曇り空ながら、海風が爽やかで心地良い。

 このあたりは鰯が名物だという。 そこで夕食に鰯の薄作りを追加で頼んだ。 これが結構いける。 サービスで焼いてくれる鰯の干物も脂がのっていてとてもおいしい。 たかが鰯だが、これは馬鹿には出来ない。