旅 日 記
水沢温泉 避暑&湯治旅
大曲の花火 2009年8月22日(土)
秋田竿燈祭りで始まった今回の旅が早くも3週間になろうとしている。今年は全国的な天候不順の影響もうけたのだろうか、ここ東北地方ではとうとう梅雨明けの発表もないまま夏が通り過ぎていったようだ。
田沢湖周辺では田んぼの稲穂が日に日に黄色みを増し、少し穂先がたれだした慌て物も見られ、ここ水沢温泉では高原を覆うススキが穂を出し、萩の花が咲いている。すでに秋は始まっているらしい。
奈良の暑さはどうだったのだろう。第一の目的が避暑であったこともあり、気にはかかってはいる。だが当然のことながらその目的は十分に、いやそれ以上に果たされたと確信できる。朝晩は寒いくらいの日もあり、こちらに来て山歩きと風呂上り以外で汗をかいた記憶がない。
高齢のお隣のおばあさん、そして我が家のばあさんの健康には何事もなく、のんびりと過ごした3週間はあっという間であった。そして22日の朝、長らくお世話になった露天風呂水沢温泉をチェックアウト。お隣のおばあさんを秋田空港までお送りして、後は帰路につくだけである。
ところが・・・我が家のばあさんのこと、この旅はまだ終わっていなかったのだ。ばあさんの最後のご要望・・・それは大曲の花火である。
昨年のこと。8月19日に入院したばあさんは病院のベッドで大曲の花火のテレビ中継を見ていたそうな。PLの花火に何度も出かけたくらいの花火大好き人間のこと。今回秋田へ行くのなら何とか見てみたい、いや見なければ後悔する・・・とまで言い出した。
ところがよくよく調べてみると人口4万人の町に60〜70万人が押し寄せ、車は動かず夜中まで大渋滞。そんなところへどうして行ける? だが彼女の気持ちもわからないではない? ならば観覧席券が入手できれば行くか?
まずは駐車場だろうと身障者用の駐車場を確保。後は観覧席券だが・・・。8月1日から電話とインターネットでの申し込みが始まったが、いろいろ手を尽くしたがなんともならない。長男に頼んでおいたインターネットも空振りなら、電話などは全く繋がらない。後はインターネットオークションか?
そこで10日に大曲のチケットショップへ電話。19000円の6人用桟敷席が30000円位らしい。だがばあさんの予算は二人で10000円。昨年は個別売りも出たそうで、今回もそんなのが出たら・・・と頼んでおいたところ、端っこの団体席が5000円であるとの連絡。少し躊躇していたら18日になって中央の良い席、2枚を10000円で譲ってくれるお方が現れたとの連絡あり。これで何とかなりそうだ。
秋田空港から大曲へ。まずは観覧席券を受け取り、昼食の後早々に駐車場へ向う。早くも交通規制が始まり、町の中がなんだかソワソワと落ち着かない。最初の日に訪れた静かな大曲とは全く違った大曲がそこにある。試し打ちだろうか? 早くも大きな音が聞こえ、町全体が異様な雰囲気に包まれている。
仮眠をとるなどして何とか時間をつぶし、4時を過ぎて会場へ出かけた。これがとんでもないことに気付かされる。何分足の悪いばあさんのこと。駐車場から近くの入場口までは500mほどだが、河川敷だから堤防への上り下りの階段に一苦労。また入ったのが3箇所ある入場口の端であったため、2Kmに及ぶ観覧席の中央までほぼ1Kmを歩く羽目に。大丈夫か? と何度も声をかけ、人ごみの中をゆっくりと進む。
席に着いたのは5時20分、早くも昼花火の競技会が始まっていた。昼花火は青空に色のついた煙で模様を作り、中には落下傘などで楽しませてくれる。
適当に吹く風に煙が早く流れ、今日は絶好の花火日和のようだ。空には早くも秋の雲? 青空がやがて茜色に染まって徐々に暗さを増し、会場全体が否応なしに盛り上がってきた。
オープニングの800m?に及ぶナイヤガラに度肝を抜かれる。後は27組の花火師たちの腕比べ。我々、いや私にはその優劣などわかるわけはないが、素晴らしいことだけは間違いない。その間にいろいろな仕掛け花火を挟みながら進行してゆく。
そして9時前、メーンの大会提供花火 「武士道」 に会場大興奮。これには圧倒された。やがて9時30分に打ち止めの花火が上がる2時間半の大スペクタクルに酔いしれる。
しかし・・・終了したのが9時30分。駐車場に到着出来たのが10時50分。大曲インターチェンジまで2時間かかり、通過できたのが午前1時。高速道路も横手インターチェンジ付近の渋滞をぬけるのに1時間以上、その上事故まで起きている。結局湯田インターチェンジを過ぎ、順調に流れ出したのは3時を過ぎていた。なおも錦秋湖サービスエリアは勿論のこと、東北道の北上金ケ崎パーキングエリア、共に満車で入れず、ようやくトイレ休憩が出来たのは前沢パーキングエリア・・・と開いた口がふさがらない。
聞きしに勝るとはまさにこのことだろう。とにかくすごいの一言である。PLの花火である程度わかっていたつもりだが、規模と言い人出と言い、その比ではない。おかげで二人ともぐったり。ゆっくりと何度も何度も仮眠と休憩を取りながら23日の午後8時にようやく、ようやく・・・なんとか帰り着けた。あ〜疲れた〜。
さて、長い距離を歩いたり、階段もあったので、ばあさん足の具合が心配だが・・・。
「うん、大丈夫やで〜。無理をしてでも行って良かったわ。」
その言葉に救われましたよ。・・・、・・・。
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