旅 日 記


釧路ロングステイ


エピローグ 2011年8月30日(火)


 予定では9月1日のフェリーに乗る予定であった。ところが11号と12号、二つの台風が日本列島に接近してきたではないか。何分船も苦手で怖がりなばあさんのこと。気になって仕方がないようだ。そこで出発を早め、30日に帰ることにした。27日、28日と二日続けて晴れてくれたおかげで、予定していたところは全て回れたことだし、何も思い残すことは無い。


 今回は観光よりは避暑と休養が目的であり、事実出かけたのは7回ほど。40日間もいたのだから、もっといろいろ回れたのだろうが、何分広い北海道。釧路からの日帰り圏内となれば行動範囲も限られてくる。部屋から一歩も出なかった日もあったが、毎日のように買い物がてら市内に出かけたことにより、釧路の町にも少しは詳しくなったかな? 道路がわかり辛く良く迷ったものだが、それも少なくなっていた。


 釧路ではこの夏、地元の人にも経験が無いくらいの暑い日が多く、観測史上新記録、最高気温が31.1度の日もあった。少し迷ったのだが、ばあさんの

 「そんなんいらんやろ。必要やったら向こうで買うたらええやん。」

 と言う一声で扇風機を持ってこなかったことが悔やまれる。そこで買おうと探したがどこも売り切れ、いや最初からおいていない? それは定かではないがやむなく断念。

 昼間の暑さを避けるべく春採湖へ避難したところ、これがとても爽やかで心地良く、随分助けられたものである。だがそんな暑い日でも日が落ちると急に涼しくなり、また8月の半ばになるとその暑さも影をひそめ、随分涼しくなった。

 そんな暑い日や寝苦しい夜もあるにはあったが、おおむね快適に過ごせたのはやはり低い湿度が原因なのだろう。これが北海道、いや釧路たる所以かな?

 ところがさすが霧の町。毎日のように濃霧注意報が出され、朝な夕なに霧が立ち込め、小雨か霧かわからない日も多かった。天候が安定せず晴れた日が少なかったが、これが夏の釧路の姿かな?

 釧路湿原へも30分ほどの距離だが、何もそこまで行かなくても釧路市内には公園が結構ある。そんな公園に何度か散歩に出かけた。

 鶴ヶ岱公園も緑豊かな静かなところである。早くもコスモスが咲き、カゴメが近くを歩いてくれたっけ。

 また街中に3Kmほど続く柳町公園へはおにぎりを持って良く出かけた。いつまでも新緑のように鮮やかな緑いっぱいの公園は格好の散歩道だが、日陰のベンチでは涼しさを通り越し、寒さを感じたほどである。

 これは珍しいと言うより驚いたことだが、ハイマツが何の違和感もなく生えている。ハイマツと言えば高い山でしか見たことがないが、こんな街中の公園に?

 また、まだ8月だと言うのに桜の木が紅葉していたのにも驚かされたっけ。まあ、まもなく9月になろうかと言う時期だったけど・・・。

 そう言えば2009年に旭岳の紅葉を見に行ったのは9月14日だった。しかしここは山ではない。さすが釧路と言うところかな?

 それ以外にも通り道にあちらこちらにいろいろな公園が見られる。グランドゴルフ場になっているところもあり、多くの年配のお方が楽しまれていた。

 近くの漁港の堤防では釣り糸をたれている人も多く、市内から少し走れば緑豊かな道となり、昆布の森ではキタキツネにも出合えた。なんと自然豊かなところなのだろう。

 皆さん親切でとても優しく、住み易い町である。またおいしいものにも事欠かない。特に大好物の魚、お寿司、パンにケーキなど、ばあさんも大満足していたっけ。

 まつり寿司や、なごやか亭の回転寿司。和商市場のお寿司屋さん。またその和商市場でいろいろ親切に教えていただいた魚屋のおばあちゃん。

 あっちこっちのケーキ屋さん、パン屋さん、六花亭とその喫茶室、またタリーズコーヒーへも良く通ったっけ。そうそう、わざわざ釧路駅まで買いに行った駅弁もおいしかったし、またラーメン、そして焼肉も・・・。

 前々回、前回の旅行の際にも訪れた炉辺の番小屋には今回、3度もタクシーで乗り付けたっけ。女将さんにも良くしていただき、おいしくて楽しい食事とビール・・・これはたまらない。


 そんな釧路に別れを告げ、30日の朝10時に出発。帯広からは高速道路も利用して小樽まで。23時30分発の舞鶴行き、新日本海フェリーに乗船した。

 9月1日の出発予定は夏季料金が通常料金に変る日であったため。30日の出発では一等船室の場合、二人で1万円ほど高くついたが、そのご利益もあり、全く揺れることもなく、ばあさんも安堵していた。そして予定通り31日午後11時過ぎ、奈良の我が家へ無事帰り着いた。

 ばあさん、最初は顔色も悪く調子も今一つだったが、日がたつにつれて顔色も良くなり、だんだん元気になっていった様子にホッと胸をなでおろしたものである。その後も最後まで何事も無く、無事に過ごせたのがなによりのことであろう。

 それもこれも釧路の夏の涼しさのおかげかな? 私も奈良の暑さを忘れていたが、これからの残暑を考えると気が滅入る。だがそれよりもばあさんは特に気をつけてほしいものである。

 釧路の夏・・・。これに勝るものは無く、是非また訪れたいものだが、さて・・・?


Back  Home