旅 日 記
富士山
2003年9月8日
いつもの通り国道と深夜無料のバイパスを走る予定であったが、珍しいことに2万円分のハイウェイカードを買ってきてくれた。年齢のことを考え、少しばかり気遣ってくれたらしい。東名高速の富士川サービスエリアで仮眠を取るうちに夜が白み始める。天気予報通り雲が多く、富士山の姿はない。
やはり高速道路は早く運転も楽である。気のせいか深夜の東名高速は通行量が少ないように感じた。最近、民主党の菅代表が高速道路の無料化をうたい文句にしているようだが、そうなれば通行量も増え、当然事故も多くなる。
今日も通ってきた名阪国道は制限速度が60Kmの自動車専用の国道だが、そんな速度で走っている車など皆無だし、通行量も非常に多く、特に深夜は高速で走るトラックに恐怖すら覚える。またたまに覆面パトカーもみられ、つかまれば何キロオーバーになるのか? 考えるだけで恐ろしい。
当然大きな事故も多く、道路工事を含め一度渋滞するとそれは半端でない。高速道路が無料になることはほとんどが名阪国道のようになることを意味し、それが良いことか? 単純に判断出来ない気もする。せめて半値にでもなればずいぶんと利用しやすくなり、我が家の大蔵大臣もあまり文句を言わなくなるかな?
富士山スカイラインも霧の中。それもだんだん濃くなってきた。仕方がない。ここまで来たのだから一応富士山の5合目までは行ってみよう。
それは突然のことであった。霧が晴れ、目の前に真っ青な空、そして深い森の上に赤茶けた色の穏やかでなだらかな山容の富士山が現れた。こんなことが起ころうとは・・・信じられない気持ちと感謝する気持ち・・・これは奇跡か?
まだ朝も早く、通る車もほとんどないことを良いことに道路際に何度も車を止める。
標高2400mの5合目には結構たくさんの車が駐車してある。風はほとんど感じないが半袖では寒すぎて、慌てて長袖を重ね着した。周りに人の姿は見られないが若者が一人下山してきた。聞けば9合目まで登ってきたそうな。と言うことはこの車の人は全て登山者ということ?
そう言えば今まで見ていた富士山よりここからの富士山はすごくなだらかに見え、簡単に登れそうだ。黒くて小さな石を一面にばらまいたような斜面が遠い昔にあった火山活動を思い起こさせてくれる。その斜面に点在する美しいまだら模様。すぐ近くにも同じものが見られ、低い小さな木と枯れた葉が素敵な光景を演出しているらしい。
下界には先ほど突入し、突き抜けてきた霧が雲海となり、目の前に広がっている。それが日の光に輝き、この上ない光景に心が躍る。ふわふわといろいろな顔を見せてくれる雲に飛び込み、抱かれて寝てみたい気分である。
吸い込まれそうな青い空、穏やかで美しい富士山、それとこの素晴らしい雲海・・・これ以上ない光景に、
「来て良かった〜。」
と我が家の女王様・・・。
と言うことは当然のことながら箱根は雲の中である。スカイラインからの芦ノ湖も全く見ることはできない。富士山が見えない箱根は魅力は無く、予定していた駒ケ岳ロープウェイを諦めることにした。
大学駅伝の箱根の山登りの過酷さに改めて驚かされ、到着した箱根ベゴニア園は今まで見たものより規模はかなり小さいが、可憐に咲く花をを見て心を癒すには十分であろうか。
(箱根ベゴニア園は2011年7月に閉園。)
観光客が溢れる湯本でそばとうどんの軽い昼食。あとは西湘バイパスを皮切りに有料道路をフルに利用して、一路房総半島を目指した。
やがて湾岸線へ。助手席ではいつもの通り気持ちよさそうに熟睡中。間もなく横浜ベイブリッジである。
「横浜港やで〜。」
しかしわずかに眺めただけでまた眠ってしまった。高いビル群、そして湾内には多くのクレーンなどが見られるが、これ位なら大阪の湾岸線のほうが景色は良さそう? やはり見所は夜景なのだろうが阪神間の夜景も捨てたものではない。
東京湾アクアラインのトンネルを抜け海ほたるに到着。やっと目覚めたおばはん、
「ここ、どこ? なんでもっと早よ起こしてくれへんかったんや!」
「それはないやろ〜。」
海ほたるは海上に浮かんだ巨大な船のようだ。海は穏やかだが曇り空に見通しはあまり良くない。食事どころや土産店なども多く、観光客も結構来ている。話のネタに一度は訪れても良さそうではあるが、これではリピーターを獲得するには少しばかり魅力が足りない?
この道路は何のために作ったの? 産業道路? 観光用? それとも生活道路? それにしては通行料金が3000円とは高くない? どちらにしても何か中途半端な気がした。
九十九里有料道路は海沿いを走っているのに防風林などで海がなかなか見えない。今日の宿、国民宿舎サンライズ九十九里が近くなり、ようやく大きな太平洋が目に飛び込んできた。ホテルに入る前に少しばかり海辺に寄ってみる。
広い砂浜にたくさんの車。多くの若者がサーフィンを楽しんでいた。それもそのはず、波が結構大きい。聞くとこれでも今日は穏やかだそうな。当然ここは海水浴場であり夏場は海水浴客と一緒だと言い、何か危険に思える。曇り空ながら海風が爽やかでとても心地良い。
このあたりは鰯が名物だそうな。そこで夕食に鰯の薄作りを追加で頼んだ。これ結構いけるじゃん。サービスで焼いてくれる鰯の干物も脂がのっていてとてもおいしい。たかが鰯だが、これは馬鹿に出来ない。
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