旅 日 記
稚内から旭川へ
2004年7月14日
この旅もいよいよ終盤に差しかかり疲れも少しは出てきたようだ。何だか風邪気味で昨夜は薬を飲んで寝た。そのせいか、今朝はわりとすっきりしている。いやそれより一番きいたのは昨夜の焼肉?
先日から汚れに汚れていた車を洗車したかったがオホーツク沿いのガソリンスタンドには自動洗車機を設置したスタンドが見られなかった。洗車場はあるが、お湯を噴射して自分で洗うものである。
ところが稚内では自動洗車機を設置してあるスタンドがかなりある。ただし、それら全てが屋外ではなく屋根がついた建物の中にあるのには感心させられた。ここは北海道、それも最北の町稚内、冬場のことを考えるとそれももっともなことと頷ける。
洗車代800円、そのかわりフロントガラスやバンパーなどにこびりついていた虫の死骸まで丁寧に取ってくれた。こんな美しい車に乗るのは久し振りだし・・・やはり気持ちいい〜・・・。
再びノシャップ岬を目指し、楽しみにしていた海沿いの道、オロロンラインのスタートである。ところがその思惑はすぐに間違いであることを思い知らされた。あまり海沿いを走ること無いじゃん。
ところどころ? そんな遠くないところに海が見えている? しかし利尻富士も霞んでいるし・・・。少し意気込みすぎていたらしい。上天気とも言えず、またその海も強い風にあおられて大しけである。
「昨日こんなんで無うて良かったわ。」
と船に弱いカミさん、しみじみ。
「ほんま、そやな〜。それより今日はどうする?」
一番館で聞いた通り、旭岳ロープウェーは一ヶ月ほど運休して点検するらしい。そんな旭岳温泉に行っても仕方がない。となると日程に余裕ができたし、この際のんびりする? 富良野はホテルも満室だろうし、旭川に泊まって明朝富良野か? まあ、とりあえず走れるところまで走ろうか。
まずはサロベツ原生花園へ。広い草原にポツリと一軒、幌延ビジターセンターである。一階では先客がオーロラビジョンを鑑賞中。二階の展望室からは広い原野の中に長沼とその周りを散策できるように設置された木道が見えている。
その木道をのんびりと散歩。小さな花を含めて結構咲いているが良く見ないとわからない花も多く、ここはじっくりと時間をかけて自然や花や野鳥を鑑賞するところのようだ。そうなると季節も含めて何度も訪れる必要があるかな?
「今日はどこのソフトクリーム、食べさせてくれるん?」
これもとうとう日課になってしまったようだ。ガイドブックには工房レティエとある。ならばご案内いたしましょう。改めて地図を見ると・・・なに? 随分と戻る必要があるじゃん。しかし急ぐ旅でもなくなったことだし、まあ、いいっか。
しかし豊富町まででもかなりの距離があり、その上看板を見て国道から右に曲がってからも随分走っているがまだ何も見えてこない。この道で合っているの? ばあさんも少し不安になってきたようで、
「もうええわ。戻ろ。」
しかしここまで来て諦めるわけにはいかない。こうなれば意地である。ようやく二つめの看板が見えてきた。え〜? この先まだ4Kmもあるの? このあたりではほんの隣の感覚なのだろうか?
やっと、やっと到着しました、工房レティエ。広大な野原や農場の中にポツンと一軒。これでおいしくなかったら文句は一言ですまない?
可愛い娘さんが一人で切り盛りしている。珍しいことにカミさんは私にイチゴのジェラートを買ってくれた。まあ、この半分以上は彼女の口に入るのだろうが・・・。と言うことは一つと半分も食べるの?
「これうまいわ。これやったら俺、み〜んな食べるで〜。」
だが驚くことに早くも次のお客が来たではないか。それぞれ可愛い子供を連れた若い美人お母さんの二人連れ。こんな町外れなのに・・・。
可愛い女主人の彼女は、
「帰りは早いですから・・・。」
と慰めてくれた。だがどう考えても我々の感覚とは一味も二味も違っている?
来るときに見ていた大規模草地レストハウスの看板、ならば寄ってみよう。ところが走れども走れども山と牧場らしき景色以外何もない。時折見られるのは牛の姿だけ。今度こそUターンするか?
ようやく見えてきました、レストハウス。見たこともないような大きなトラクターから降りた若いお兄さんも入って行く。どうやらお昼時らしい。ここは土産物の売店と言うよりは食堂?
だが我々はまだ空腹感がない。カミさんは牛乳飲み放題お一人様100円のお品書きに興味津々。そこでとりあえず頼んでみた。
ところが出てきたのを見て驚いた。なに? これは生ビール中ジョッキと同じくらいの量じゃん。一応挑戦、時間をかけてゆっくり、ゆっくり、だが結局全てを飲みきれずに白旗を上げた。飲み放題と書いてはあるが、こんなのでお代わりする人、いる?
ここはついこの前までは日本一広い牧場であったそうな。ならば現在の日本一は? ナイタイ高原牧場? 我々が行ったときには上の方に霧がかかっていたし、どっちもどっちかな? 我々には全くわからない。
それにしてもこのスケール、圧倒されるような広さと規模、どうやら我々には考えも及ばない世界であるらしい。あっそうだ、聞くことを忘れていた。このあたりでは回覧板はどのように回すの?
後はひたすら走ることに。お昼はどうする? そんなのあの牛乳がお昼ご飯じゃん。いつまでたっても空腹感を覚えない。
あちらこちらで勢い良く回っている風力発電の風車を眺めながらひたすら走る、走る、走る・・・。
ようやく到着した道の駅ほっとはぼろのバラ園には美しいバラが満開で、カミさんが見に行っている間にちょっと一眠り。目を覚ますと前のベンチに腰を掛けてまたソフトクリームに舌鼓。これはもう何をかいわんや。
苫前町からは国道239号線へ。緑の中の山道だが通行量は極端に少ない。時速80Km位で走っていてもたまにバックミラーに写った車が瞬く間に追いつき、追い越して行く。ついて行こうにも慣れない山道、すぐに見えなくなってしまった。
士別が近くなりまた牧場や畑が広がってきた。道路際に天井でランプが回っている車を発見。なに? 覆面パトカー? 捕まっているのは随分前に追い越して行ったワゴン車じゃん。何キロオーバー? あ〜恐ろしや恐ろしや。
士別剣淵インターチェンジからは高速道路を利用し、一路旭川へ向かう。
旭川は30数年前仕事で訪れ、そのときの記憶ではホンに田舎の小さな町だった。この旅では旭岳温泉か天人峡温泉に泊まる予定をしていたから旭川は何も調べておらず、情報はほとんどない。だがホテルもかなりあることだし何とかなるだろう。
ところがこれが甘かった。何と大都会ではないか。駅周辺の中心街はビルが建ち並び、車も渋滞している。ホテルもそこかしこに見られ、とりあえず一軒一軒あたり始めた。
ところがどこも空室は無く5軒目、6軒目・・・。どうする? このあたりを何回回っただろう。時間は6時を回っている。こうなれば腰をすえてじっくり探そうと車を止めて電話作戦。
だが観光案内所は時間が遅いこともあり応答がなく、ガイドブックの宿のリストは数が少ない。しかしようやく空室ありの応答。ちょうどキャンセルがでたところらしい。
そのホテルは駅前の藤田観光ワシントンホテル旭川でツインルーム14000円と駐車料金700円。これで一安心、あ〜疲れた〜。
シャワーを浴び暗くなり始めた町の中へ。駅前からの広い道路は買い物客で混雑しているが歩行者天国かな? その周りを大型店舗や色々な商店、食べ物屋さんが並び、やはりここは大都会の様相、たむろしている高校生など若者の姿も見られる。オ〜イ、いくらなんでもガングロはもう時代遅れだろ?
我々はガイドブックを頼りに 「創作えぞ料理花まる亭」 へ向かった。しゃれた感じの雰囲気の良い店である。二人で違ったコース料理を頼み、おいしくいただく。
カミさんはかぼちゃのペロンタンスープがお気に入り。私のコースに入っていた鮭のチャンチャン焼きを若くて可愛い給仕さんが火加減調節のタイミングを逸したらしく焦がしてしまった。困ったようなオロオロした姿がまた可愛い。先ほど駅前で見かけた若者たちと同年代だろうが、こちらが本来の道産子の姿であろう。
「お詫びのしるしです。ママからです。」
と生ビールを持ってきてくれたが、ちょうど追加で頼もうと思っていたところだし、あなたのその笑顔でとうに許していたし、そんなに気を使わなくても良かったのだが・・・。それよりこれはあなたの給料から差し引かれない? おじいちゃんにとっては少し心配である。食事代、〆て10300円。
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