旅 日 記
いざ、南九州へ
出水から指宿へ 2004年2月16日(月)
牛深港10時発のフェリーに乗るため、8時20分に快晴の天草下田温泉を出発。昨日走った狭い道が続くようなら1時間以上かかると思われたが、大江天主堂を過ぎれば立派に整備された国道になり、牛深には9時10分に到着した。しまった、これならもう少し早く出ていれば9時発に乗れたのに・・・。
「時間は間違いないん? 先に港へ行って確かめたら?」
「いや、調べたるから大丈夫や。」
そこで時間つぶしに目の前のハイヤ大橋へ向かった。
かなり斬新なループ橋をカメラに収めているとフェリーらしき船が岸壁を離れていく。聞けば一隻がドック入りのためダイヤ変更? 今出て行ったのが9時20分発で次は10時40分?
「せやから言うたやろ。」
いや全く、面目ない。だが1時間以上どうする?
そこであてもなく牛深の町中へ車を走らせた。改めて港へ戻りかけたその時、雲一つない空から何かが落ちてきた。なに? 鳥の糞? それも前から後ろまで広範囲である。クッソ〜・・・鳥まで馬鹿にするか?
「早よ拭かな乾いてしまうで〜。」
やかましい、わかってるわ、この鬼ババア・・・と口には出さねども、道路際に車を停めムカムカしながら、そして人の目も気にしながら汚れを落とした。トホホ・・・。
波静かな海を船は滑るように進んでいる。日差しが強く、デッキに出ても寒さは全く感じない。いや風が心地よく感じられるほどの陽気である。太陽に照らされた波がキラキラと輝き、これはもう春本番の雰囲気ではないか。
到着した蔵之元港は鹿児島県である。1時間ほどで出水市のツル観察センターに到着したがこれは驚いた。広い畑にいるはいるは、また鳴き声も賑やかで、その分臭いも少々・・・。そこで少々お勉強。
この出水に飛来するほとんどのツルはナベヅルで75%、あとはマナヅルが24%、その他クロヅル、カナダヅルで、今年はその数11000羽以上だったが、すでに北帰行が始まっており、これでも少なくなったそうな。ツルは臆病な鳥で夜、外敵の侵入を防ぐため池など水の中で眠り、夜が明けると餌を求めて飛び立ち、そのとき子供たちがその数を数えるのだそうな。またツルに交じってたくさんのカラスも飛来するが、日本のカラスより少し小さいそうな。
ツルのために畑に水を浅く張って迎える準備をし、飛来した当初は穀物類の餌を、また北帰行が始まるこの時期は小魚など蛋白質を混ぜてやり、長旅への体力をつけさせてやるというから、この町の人々の努力には頭が下がる。
国道3号線で指宿を目指し一路南下する。時間は1時、この様子だと指宿到着が5時になりそうな気配。ならば宿を決めておこう。インターネットの口コミサイトであまりにも評判の良いホテルがあり、泊まってみるか?
その宿は指宿温泉白水館。一泊二食18000円だそうな。そんな高価な宿に泊まったことはないが、一度経験するのもいいかな?
市来町からは南九州自動車道を利用、鹿児島ジャンクションから指宿スカイラインへ。どちらの道路も通行量は極端に少ない。
見えてきた桜島と錦江湾は天気が良すぎるのか? 靄がかかり、見通しは今一つ。指宿が近くなり街並みと知林ヶ島、薩摩富士と言われる開聞岳、そして池田湖がぼんやりと現れた。
やがて池田湖に到着。さすが南国、とても暖かく吹く風も心地よい。周りには満開の菜の花、それもとても広く、またそんな畑が数か所見られる。湖面越しに大きな開聞岳、白いイッシー像があるドライブインで大ウナギも見物。
白水館は大きなホテルで数台の観光バスが到着し、ロビーには人が溢れていた。案内された部屋は別棟?で結構遠く、途中教えてもらった二つの浴場、また食事処、数件ある大きな売店などを通り、その先にようやくエレベーター、これでは迷いそうじゃん。
6階の部屋はツインベッドの部屋と6畳の和室でとても広く、窓からは大きな海が望める。窓ガラスもきれいに拭かれ、掃除も行き届いているようだ。トイレも温風乾燥機能が付いたウォシュレット、金庫もダイヤル式で鍵を持ち歩く必要がない。コンセントも各所にあり、これは助かる。実は昨夜、コンセントがなく不便な思いをした。最近では携帯電話やデジカメの充電、ノートパソコンなど電気を使うことが多く、ポットのコンセントを抜いて対応したが、今日はその必要はない。
当然ベッドで眠るものと思っていたが仲居さんが、お布団にしましょうか?・・・と聞きに来てくれ、浴衣のサイズも確認、これは少々の我儘ならかなえてくれそう?
まずは旅の汗を流すべく温泉へ。長い廊下を通りようやく元禄風呂に到着、これは別料金だが受付で浴衣をもらって砂風呂を初体験。広い部屋の中でこれなら寒くもなく雨でも大丈夫だろう。夏は窓を開けるのかな?
砂の上に横になるだけでかなり熱く、砂をかけてもらうと結構重い。ぽかぽかと良い気分で次第に汗が溢れてきた。普通は10分ほどだそうだが隣のカミさん、頑張っている。これは負けてはいられないと15分・・・これはもう限界・・・その砂と汗をシャワーで流し、温泉へ。なるほど、これは爽快である。
食事処は仕切りがある半個室で下が掘りごたつのようにくりぬかれ、ゆったりと座れる。汗を流したあとのビール、これはこたえられない。
だがカミさん、部屋に眼鏡を忘れてきたそうな。せっかくの料理を目でも楽しもうと取りに行ったところ、そのあとに運ばれてきたのが暖かな椀物。すると係りの若い給仕さんは私の分だけをおいてもう一つは持ち返り、改めて暖かなものを出してくれた。当然と言えば当然かもしれないが、なかなかできるものではない。
魚も三種類のものから一つ、お肉も牛か豚を選べる。二人別々のものを頼んでもいやな顔一つせず、逆に勧めてくれた。食事のペースに合わせて料理が出てくる。食事の量や食材は昨夜の望洋閣も遜色ない、いや勝っているかもしれない。なのにこの満足感は? どこが違うのだろう。
従業員の数も多く、しっかり教育もなされているようだ。温泉からの帰り、ばあさんを待って少し周りをうかがっていると、すかさず
「どちらへ向かわれますか?」
と聞きに来てくれた。それもさりげなく・・・。
真のサービスとは? 接客業の難しさ、奥深さを考えさせられた。宿泊料金の差は5000円だが、それ以上の値打ちはありそうかな? これは評判通りの宿であるらしい。
Next Back Home
|