旅 日 記
いざ、南九州へ
指宿から桜島へ 2004年2月17日(火)
朝食後、可憐に咲いている花に誘われて中庭へ出てみた。芝生は手入れが行き届き、ゴルフ場のグリーンと見間違うばかり。また松並木も・・・。そういえば昨夜、きれいにライトアップもされていたっけ。ここまで丁寧に育てられた花たちはなんと幸せなことよ。
大阪のおばちゃんは何かにつけ悪いところを見つけ、けなすのが好きである。カミさんも典型的な大阪のおばちゃんで重箱の隅をつつくのを生きがいにしているが、このホテルにはイチャモンをつけるところがない?
「これもなんや、面白うないな〜。」
オイオイ・・・。
雲一つない青空のもと、心も晴れやかに長崎鼻パーキングガーデンへ向かった。何もこの歳になって動物園でもあるまいが、ぜひ一度フラミンゴのショーを見てみたい。
色鮮やかなインコたちのお迎えを受けて園内へ。大きく見える開聞岳がよりのんびりとした雰囲気を醸し出し、熱帯植物が茂り、南国ムードいっぱいである。あっ、鶯が鳴いてるじゃん。
9時30分からのフラミンゴショーには結構な人が集まってきた。ワルツのリズムに乗って現れた30〜40羽のフラミンゴたち、まるで幼稚園児がお手々つないで散歩しているようだ。一概にピンクと言っても淡いものから濃いものまで、いろいろいるんだね〜。
飼育員の合図に合わせて三つのグループに分かれ、また全員集合。クライマックスは小さな池を羽ばたいて飛び越え、あとは自由行動。観客席からの大喝采は彼らに届いたかな? 一番喜んだのは見事に飼いならした飼育員さん? だがこれはお見事!
珍しいたくさんのサボテンやインコのショーにも癒されて童心にかえる。長崎鼻パーキングガーデン・・・これもまた、たまには良いものである。
続いて向かったのがすぐ近くのフラワーパークかごしま。しかしいかに鹿児島、それも指宿とは言えまだ2月である。この時期、花はどうであろうか。咲いてはいても少ないかな?
まずは広い園内を8人乗りのバスに乗って一巡り。展望台からは晴れ渡った空と大きな青い海が望める。要所では停車もしてくれ、花の名前などの説明を聞きながらゆっくり、のんびり、ゆったりと・・・。
私は花の名前を覚えるのが苦手である。同じ花の名前を何回も聞き、カミさんにあきれられているが、名前なんてどうでもいいじゃん。美しいものは美しい。それで十分だろ? この丁寧な説明、右の耳から左の耳へ・・・ああ、もったいなやもったいなや・・・いや申し訳ない。
バスを降りて少し散歩する。ポピーの花壇越しには大きな開聞岳、その他いろんな花が咲き、温室にはたくさんの蝶が舞っていた。歩いていると暑いくらいでセーターを脱ぎついにはTシャツ一枚、それでも汗が拭きだしてくる。さすが南国、今日は何月何日だったっけ?
さて、この先の予定だが、ガイドブックでは山川〜根占までのフェリーがあり利用する予定でいた。ところがインターネットで調べたところ休航中だそうな。このまま廃止かな? 知らなければウロウロしていたことだろう。とはいえ佐多岬までは是非行ってみたい。となると鹿児島まで戻るしかない。
大きな開聞岳の裾野に広い畑が続く、のどかな田園風景である。こんな所に住んでいれば長生きができそう? とはいうもののゆっくり走っている車のなんと多いことよ。お年寄り? ところが追い越してみると若いお兄さん。このリズムについていけない私には余計ストレスになる? こりゃ〜だめだわ〜・・・。
北へ向かうにつれ、だんだん天気が悪くなり、雨がパラパラと落ちてきた。鹿児島市内の観光もしてみたいが、そうなると日程がもう一日必要かな? ならばと先を急ぐことにして桜島フェリー乗り場へ直行し、そのまま乗船。
3時、桜島上陸。雨は降っていないものの桜島も雲に半分隠されていた。
さて、今日の宿探し。古里温泉に向かったが灰を被ったような薄汚れた古い建物で、これなら平成12年オープンという国民宿舎のほうがいいかな? 電話で問い合わせ。一泊二食8000円だそうな。昨夜とのこの落差、だが足して2で割るとちょうどいい?
まだ時間もあることだし・・・と桜島を一周することにした。まずは有村溶岩展望所。ようやく桜島がその全容を現したが噴煙は厚い雲の中なのか確認できない。周りは一面ゴロゴロとむき出しの溶岩に覆われ、爆裂の凄まじさ、その恐ろしさを体感。だが大きく育った一本の松の木を筆頭にその不毛の大地に芽吹いている草木の緑に安堵もさせられた。これ、どちらも自然の力だろ?
国道から少し入って埋没鳥居へ向かうと風向きの加減か、硫黄の臭いが鼻につく。小学校と住宅の間にある神社の鳥居が上の部分だけ残されて埋まっていた。大正3年のことだったそうな。当時の村長がそのまま残すことを決め、今でも教訓として語り継がれているのだそうな。
進むに従い静かな海が広がり山の姿も変わってきた。各所には待機所が設けられ番号も記されている。何と恐ろしいことよ。やがて湯之平展望所に到着。
赤茶けた岩肌が鋭くとがり、いつ崩れても不思議ではない? その中央には噴火口だったのだろう、大きなくぼみになっている。これもカールというのだろうか?
この凄まじい様相には胸騒ぎすら覚えるが、海側を見れば静かな錦江湾の先に鹿児島の町が雲間のわずかな隙間から差し込む細い光を浴び、まるで墨絵の世界のごとく浮かび上がっていた。いつまでもこの平和な世界が続きますように・・・。
今夜の宿、国民宿舎レインボー桜島はフェリー乗り場の近くにあり、まだ新しい。早速温泉へ。マグマ温泉と言うそうで鉄分が含まれた茶色に濁った湯はよく温まる。なんだか浴衣が休暇村のものに似ている?
食事は豪華な食材と言えないがそれを超える味付けで板前さんの腕を感じる。男性ばかりのスタッフもきびきびと動き回り、その気配りが心地よい。聞くと建物は町の施設だが運営は休暇村に委託しているそうな。となると休暇村にしてもいい加減なこともできず、優秀なスタッフを派遣するのは当然のことか?
箸置きにしてある小さな溶岩が気になり、どこで売っているのか聞いてみた。しかし売り物ではなくスタッフが拾ってきた手作りだそうな。海水につけると黒くなるという。湯の平展望所では売っていたらしいが気が付かなかった。
「300円だそうですが高いですよね〜。お気に入りならどうぞお持ち帰りください。」
ますます気分もよくなり、ビールが進む。
「あんた、ええ加減にしときや!」
ハイ! ・・・、・・・。
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