旅 日 記


鹿教湯温泉湯治旅


妙高 戸隠 善光寺 2012年10月24日(水)


 昨日の大雨が嘘のような快晴である。部屋から見える山のいただきから登る朝日がまぶしい。時間は6時23分。

 昨日到着したとき、狭い道が入り組んだところに結構な宿があり、昔ながらの小さな温泉街と言う印象だったが、このとうじの宿鹿教湯温泉桜館は少し高台にあるため、朝日に照らし出された温泉街の模様が確認できる。山間の温泉には違いない?


 今回は6泊の予定が4泊になったことだし、そんなにのんびりとはしていられない。まずは妙高高原だろう。だがお隣のおばあさん、少しお疲れのご様子。

 「部屋でゆっくりしとくさかい、二人で行っといで。」

 そこでパンと牛乳、果物の朝食を済ませて7時前に飛び出した。長野県の天気は一日中快晴との予報なのに、新潟県は曇りで一時雨? これから行く妙高高原は新潟県である。さて、どうする? 行き先を変えるか? だが新潟県の天気予報は明日も明後日もあまり良くない。妙高は新潟県とは言え長野県との県境だから、大丈夫かな?

 上田までは30Km足らずで40分ほど。坂城インターチェンジから高速道路を利用し、8時20分、妙高高原のいもり池に到着。風が冷たく少し寒さを感じる。だが妙高山は雲の中。すぐ隣、長野県の黒姫山は晴れてくっきりと見えていたのに・・・。天気予報通り? ここはやはり新潟県だと言うことか? そんなに距離は無いのに・・・少し不思議な気がする。

 いもり池の紅葉はまだ少し早い? いや、こんなものかな? だがところどころ陽があたっているところはさすがに美しく輝いている。いもり池は水草が覆うそんなに大きくない池だが、少しばかり覗いている水面には雲の合間からのわずかな青空も写っていた。本来ならここに色付いた妙高山の姿があるのだろう。

 笹ヶ峰高原を目指して山道を登ってゆく。白樺の林と色付いた森が迎えてくれた。紅葉も今がちょうど盛りのようだ。

 やがて牧場が現れたが最早牛の姿は見られず、鳥の鳴き声以外何も物音は無くとても静かな佇まい。少しばかりの青空も見られるが、相変わらずの曇り空、引き返す頃には少しは良くなっているのを期待して、その奥へと車を走らせた。

 なに? クマからのお願い? 随分と長く生きてきたが、熊さんからお願いされたのは初めてである。そんなことより目の前に現れないでね。じいさんからのお願いである。

 やがて火打山への登山道が現れた。駐車場にはかなりの車が停まっている。登山の人たちだろうか。

 紅葉の森の上に見えている山の頂は真っ白ではないか。昨日の雨は高い山では雪だったのだろう。ポツリと顔に冷たいものがかかった。なに? 落ちてきたのはみぞれ? 雪? やっぱり・・・道理で寒いはずである。このあたりが終点らしい。ならば引き返そう。

 帰り道もの〜んびり。コーヒーでも飲みたい気分である。そこで牧場近くのグリーンハウスへ寄ってみたが閉まっていた。山にかかった雲はなかなか取れず、たまに覗く日の光が紅葉した山を輝かせてはすぐに翳ってしまい、なんだか落ち着かない。今日は一日中こんな天気なのかな?

 妙高へはスキーに何度も訪れている。池の平、杉の原。懐かしいね〜。だがそれ以外のシーズンは始めてである。その上赤倉へは一度も行っていない。この際、赤倉、燕方面へ行き、スカイケーブルにも乗る予定ではいたが、この天気では・・・。それより天気の良い間に戸隠へ行く方が得策かな?


 戸隠高原の紅葉はもう遅い? 道路沿いには早くも枯れた葉を落とし始めた木々が目立つ。やがて奥社の駐車場。奥社へは山道を登る必要があり、当然行くことなど出来ないが、目の前には紅葉した森の上にごつごつとした戸隠山・・・これは素晴らしい。

 そう言えばここ戸隠にもスキーで訪れたことがあり、真っ白に雪化粧をした岩山の姿に感動したことを思い出した。紅葉もこんなに美しいところだったんだ・・・。

 そこで鏡池まで向かうことにした。狭い山道を10分足らず。ところがたくさんの車に驚かされる。何とか車を停めたが、目の前の鏡池まではでこぼこ道・・・これでは車椅子を押すことなどできない。ばあさん、それほど距離はないから、歩くと言う。そこで手を引いてゆっくりゆっくり・・・。

 快晴の空から降り注ぐ陽光にもかかわらず、冷たい風に身震いをする。目の前に現れた岩山と紅葉の姿にうっとり。だが小さなさざ波が鏡池の名を台無しにしていた。ここに戸隠山の姿が映っていれば、なお一層見事だったろうに・・・。

 戸隠と言えば蕎麦だろう。そこでしなの屋と言う蕎麦屋さんで昼食。私は蕎麦音痴だが、なんだか違う? こんなにおいしくいただいたのはいつ以来? いや、敦賀のおろし蕎麦以来2度目かな?

 奥社は無理でも中社なら車椅子でも登れるそうな。そこで参拝することにしたのだが、ここでも境内は砂利道ではないか。今度も少しだけだから歩く? 参拝するとやはり心が落ち着く。

 長野市内へ向い、善光寺へ。本堂へも車椅子でお参りでき、ばあさん、神妙に手を合わせていた。びんずるさんの太もも付近をさする真剣な顔・・・こんな姿、見たことが無い・・・かな? 私はばあさんを待たせてお戒壇巡りへ。しばし真っ暗な闇の世界を体験する。

 仲見世通りをのんびりと車椅子を押して歩く。

 ばあさんの目的はおやきと味噌ソフトだそうな。なに? 他にもいろんなソフトクリームがある?

 「巨峰のソフトってどんなんやろ?」

 「そんなん知らん。どっちでも好きなんにしたらええがな。」

 「やっぱり味噌ソフトにするわ・・・。」

 なんのこっちゃ。


 時間は4時過ぎ。夕食には少し早い? そこで長野市内を少しドライブして時間を潰し、5時前、氷見きときと寿し長野店で夕食の後、鹿教湯温泉まで。長野市内は国道18号線の渋滞が激しく、高速道路を利用したのに到着は7時半になっていた。


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