旅 日 記
裏磐梯
2001年10月16日
深夜の北陸道は通行量が少なく、いつもの通り仮眠を取りながら・・・。名立谷浜サービスエリアで高速道路でのガソリン補給初体験。また新潟に入ってからの距離の長いこと・・・。
ようやく新潟中央ジャンクション、いよいよ磐越自動車道である。周りはうっすらと明るくなってきた。頻繁に出てくる 『会津』 の文字に何となくうれしく感じ、その余韻に浸っているうちに磐梯山サービスエリアに到着、時計は7時を指していた。ところが目の前の磐梯山は何のことはない、どこにでもあるような普通の山じゃん。
猪苗代磐梯高原インターチェンジで高速道路を離れスカイラインの入り口、高湯温泉を目指し国道を福島方面へ。30分も走っただろうか、磐梯吾妻スカイラインへの標識が現れた。案外近いんだ・・・。
ところが少し登ると左 磐梯吾妻スカイライン、右 福島の標識。なに? 右に福島? 昔、磐梯吾妻スカイラインへ来た時には福島からバスに乗ったけど・・・少し変だが・・・まあ、いいっか・・・。
料金所を過ぎ、高度が上がるに従い美しく化粧をした山々が出迎えてくれた。山の向こうに山があり、それがどこまでも続いている。その山々が見事に色付き、その紅葉の様は錦織り成す・・・などとの形容をはるかにこえている。私の貧弱なボキャブラリーではこの美しさを表現することは出来ない。
「わ〜あの山・・・わ〜こっちの谷・・・わ〜きれい・・・。」 と、はしゃぐカミさんにつられ、ついついキョロキョロキョロキョロ。当然カーブの多い山道である。まだ朝も早く、車が少ないから良いものの休日ならば・・・渋滞は保障できる?
天風境の駐車スペースに車を止め、今度はじっくりと、改めて素晴らしい紅葉を楽しませてもらった。空には明るい雲ながら青い空は望めず、風はさほどでもないのに日が当たらない空気はやはり冷たい。
登るに従い、周りの木々や山の姿が変わってきた。やがて高原に出たらしく道も平坦になり、濃い緑の青森トド松の林を抜けると浄土平に到着。しかし、何か変だ。左にあるはずの吾妻小富士が右にある。どうして? 記憶違い? いや地図を見ても左にあるが・・・まあ、いいっか・・・。あの上まで登り、すり鉢状の火口を見たのを思い出したが、今日は天候も冴えず風も強そうだし人影も車もない。これは登るのをあきらめよう。
あの山が一切経山かな? やがて車を止めるな!・・・との立て看板があり、荒涼とした雰囲気に硫黄の臭いが漂ってきた。ここが天狗の庭か? なるほど、ガスで目に涙がにじむ。
見下ろせばススキの向こうに遥かな山並み。振り返って見上げれば美しい山と素晴らしい紅葉。やはり東北の紅葉はスケールが違う。思い切って来てよかった〜。
何度も何度も道路際に車を止める。だが、登ってくる車がずいぶん多くなってきた。やがて料金所。なに? 高湯温泉? 計画ではここから登るつもりであったのだ。そうか、土湯から逆に走っていたのか。これで全てが理解できる。知らないところとは言えこの馬鹿さ加減。あきれるやら照れるやら、これは面目ない。そうと解っていれば料金所の手前でUターンという手もあった?
気を取り直し今度は国道を土湯へ向かう。道路沿いの林や周りの山も十分美しく色付いてはいるが、あれだけの紅葉を見てきただけに・・・。道の駅土湯から土湯トンネルを抜けると磐梯吾妻スカイラインの標識が現れた。なるほど、納得・・・。
ほどなく磐梯吾妻レークラインの標識。雲の切れ間から少しばかり日の光が差し込むといっきに明るくなり、ブナの森が黄色に輝きだし、紅葉も・・・。左に秋元湖が見え隠れしている。
中津川渓谷は橋の上から眺め、右に大きな桧原湖と小さな小野川湖が仲良く見える三湖パラダイスの展望台を過ぎると間も無く磐梯高原、裏磐梯である。喜多方ラーメンとそばの軽い昼食。
さて五色沼だが、五湖すべてを回る時間はない。そこで毘沙門沼だけにしようと食後の散歩。少し色付き始めたばかりの毘沙門沼は曇り空のせいか水の色も変わったところは見られず、何だか冴えない雰囲気。
だが対岸の森の上の磐梯山は今日の朝、磐梯山サービスエリアから見たそれとは全く別の山ではないか。しかし写真で見ていたイメージよりは遠くに見え小さく感じる。でもその山の姿は爆発時の凄まじさを想像するには十分すぎるほどの景観であり、迫力満点。ボートが浮かぶ湖面にはたくさんの錦鯉に混じり、1メートル以上の大きな鯉にびっくり。
少しピークは過ぎているのだろうか? 磐梯山ゴールドラインの紅葉は黄色よりむしろ茶色に近く、黄金色に見える。「せやからゴールドラインて言うんやろ。」 とカミさん。上手いこと言うじゃん。
やがて林を抜け、見晴らしがよくなった。今度は磐梯山を横から見ることになる。頂上の少し下から谷底までの巨大なキャンバスにあらゆる絵の具を使い、最高の技巧を駆使して描かれた絵画のようだ。この大自然を創造された神様が描かれた? これはまさに芸術じゃん。わ〜、きれい・・・とだけ言って、さすがの女王様も次の言葉が出てこない。
この磐梯山ゴールドラインは絶景のポイント、ポイントに駐車場も設置してあり、滝もいくつか見え、素晴らしい道路ではないか。やがて猪苗代湖がぼんやりと見えてきた。名残惜しいが磐梯山をあとに会津若松を通過。今日の宿に決めた塩原温泉へ急ぐことにした。
道中、塔のへつりに寄り、珍しい岩の芸術にも触れ、自然の力の偉大さと不思議さを体感。
塩原が近くなり、とうとう雨が落ちてきた。周りは薄暗いが時間は4時である。塩原の紅葉はまだまだ先のようで、緑が美しい箒川沿いの道を少しばかりドライブしてから塩原温泉に宿をとる。
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