旅 日 記
みちのく桜前線追っかけ旅
プロローグ 2009年4月10日(金)
お彼岸のころの記録的な暖かさで桜の花もたまらず開花。そんなニュースが各地から伝えられていたのに奈良の桜は4月も6日になってようやく満開宣言がだされた。
開花してから満開までは例年なら一週間ほどだが、今年は15日もかかり、記録としても珍しいそうだ。それだけ今回の花冷えは厳しく、長かったと言う証拠だろう。
その寒波もようやく峠を越し、桜前線も東北地方にまで北上、7日には福島で開花とのニュースが流れていた。
これから桜前線は東北地方を北上する。三春の滝桜、角館の枝垂桜、そして弘前城の桜・・・。どれも日本を代表する桜だし、以前から訪れる予定はしていた。
昨年のこと。日本三大桜の一つ、山高神代桜を訪れたあと、ばあさんが
「根尾の薄墨桜は2回も行ったやろ。ほな来年は三春の滝桜を見に行こか。」
と言っていたその20日後の4月24日、間質性肺炎で緊急入院。なに? その原因は血管炎? 膠原病? 結局16日間の入院。それから膠原病との戦いが始まった。
8月19日に再入院。今度は65日間である。プレドニンの大量投与により血管炎自体は治まったようだが、薬の副作用がひどく、大変なことになってしまった。
そして今年の3月、大腿骨頭壊死との診断が下されたのである。
その時に書いていたBlogがこちら
大腿骨頭壊死 2009.3.12 投稿
いよいよ恐れていた事態になってしまった。これからは重いものは持たず、坂道や階段なども避け、出来るだけ歩くのもひかえるように・・・と宣告されたのだ。
それは大腿骨頭壊死と言う病気。先日のMRIの検査で判明。これからは内科、眼科に加え、整形外科も受診しなければならない。
大腿骨骨頭への血流が妨げられておこる疾患で、骨組織が壊死に陥り、関節面が陥没したり変形したりする病気だそうだ。ばあさんの場合はステロイドの副作用と考えられ、治る見込みはないという。
それも今はまだ大丈夫だが、もう少し悪くなれば手術が必要となる。それも人工骨を埋める大掛かりな手術らしい。これからはそうならないように万全の注意が必要となる。
昨年の秋頃から腰や膝が痛むと言っていたが、どうやらそれが原因だったようだ。だが体の痺れは直接関係ないらしい。
私は当初からステロイドの副作用を大変恐れていた。その副作用について一通りの説明は受けてはいたが、この大腿骨頭壊死は知らなかった。その他にもまだいろいろとあるのだろうか?
薬は両刃の剣、一つの病を治癒すれば他の箇所に影響が出るのは必然のこと。だから私はできるだけ薬は飲まないようにしている。しかし、ばあさんは昔からどちらかと言えば薬好きであった。
今回の場合、放置すれば命にかかわる病気。発端であった上強膜炎はいざ知らず、次に発症した間質性肺炎ではある程度の投薬はやむをえない。いろいろ検査をした結果の血管炎、そこでプレドニンの投薬となり、ついには入院しての大量投与、今思えばその処置は正しかったのかと疑われ、悔やまれてならない。
とは言え肺や腎臓に影響が出やすい病気でもあり、医者の判断は当然のことだろう。それを責めるわけにはいかず、これが彼女の運命なのかもしれない。
だが現在のところ体調はそんなに悪くないようだ。体の痺れと膝、腰の痛みはあるものの、それ以外の症状はほとんどない。と言うことは血管炎自体は治まってきた?
少しは不自由だろうが、通常の生活に支障をきたすほどでもなく、私が家事を少し手助けすれば何とかなりそうだ。今後は十分注意して、これ以上悪くならないように願うばかり。まずはできるだけ早くプレドニンの量を減らすことだろう。
これは三春の滝桜などとのんきなことを言っている場合ではない。東北の桜も夢となり、もはや諦めていた。昨年の秋にも北海道の紅葉狩りを断念し、いつかは行きたいとは思えども、それももう無理な話。これで遠くへ旅をするのは終りにしよう。
ところが3月20日頃、突然ばあさんが、
「来年はどうなるかわからへんやろ。せやから今年は東北へ、三春と弘前の桜を見に行く!」
と言い出したのだ。え〜、それってマジ?
もっともここ最近、血管炎の症状は落ち着いている。体の痺れ、膝、腰の痛み、疼きで時々顔をしかめてはいるものの、体の調子自体はそんなに悪くない様子。
また、もう一度行きたかった東北旅行と言う目標ができたことも良い影響をもたらしたのだろうか、日に日に元気になってきたようにも感じている今日この頃・・・。
病は気からとも言うし、彼女のその意欲は大切にしてやるべきだろう。ならば何とかならないか・・・と考えた。
まずできるだけ歩かないこと、また少し元気になったとは言え、病人であることには変わりなく、いかに体に負担をかかけない楽な行程を組むか。
ところが一言で東北と言ってもとても広い。その上福島の三春滝桜から青森は弘前の桜までとなると、咲くのは? なに? 2週間は違う? いや、20日以上?
これではどうにもならない。しかし彼女の言うように来年のことはわからない? だから二度にわけることもできない? となると少なくとも三春、角館、弘前へは行く必要がある? その他にも桜はたくさんあることだし、これが最後のチャンスならできるだけ回りたい? またどうせ行くなら満開とは言わねども、桜の見ごろに出会いたい?
これは欲張りすぎ? 全てを回るのは無理な話? ならばどうする? 今までならここで諦めていたかもしれない。
東北と言えばもう一つの魅力は温泉だろう。そこで湯治もかねてはどうかと考えた。今年の1月に行った白浜温泉のこともある。少し良くなったのもそれが原因? それは定かでないにしろ、気持ちの問題が大きかったのは事実だろう。
自炊の湯治宿なら出費も少しは安くあがるだろうし、のんびりと温泉につかって桜の開花を待つと言うのも一つの方法ではなかろうか。
だが福島と弘前は距離がありすぎ、一箇所という訳にはいかないだろ? また体の調子も見極める必要があり、出発できるかどうか微妙であることに変わりはないだろ?
その上今は休日の高速道路の通行料金が1000円だし、それを利用しない手は無いだろ? となると何としてでも土曜日、日曜日に出発する必要があるだろ?
今まで日本列島、北から南まで各地を訪れ、その都度いろいろ計画も立てたが、今回ほど頭を使い、また気をもんだことも珍しい。
何度も何度も計画を練り直し、結局、宮城県の鎌先温泉と秋田県の水沢温泉に腰をすえることにし、とりあえず予約も済ませた。
そんな努力の甲斐もあってか、昨日9日の診察でも現状を維持、医者の許可も得て予定通り、12日の日曜日の朝に出発することにした。
夕刻には逗留先の白石市の鎌先温泉に到着し、翌13日の月曜日に白石川一目千本桜と船岡城址公園の桜見物。そのあと見ごろを待って福島県の花見山と三春滝桜へは鎌先温泉から日帰りする予定である。
ところがウェザーニュースでは白石川一目千本桜と船岡城址公園はどちらも7日に開花。見ごろは4〜5日後だからちょうど良いだろう。しかしなぜか花見山の予想が出ていない。そこで福島市観光案内所へ電話で問い合わせ。
なに? 5日に開花している? 今がちょうど見ごろ? おいおい、マジかよ〜。
その上この暖かさで白石川、船岡公園とも11日にも見ごろを迎える? それもそうだろう、ここ最近のこの好天とこの陽気。とても4月とは思えない暖かさに桜の花も我々以上に右往左往?
その後のニュースでは白石川の桜は開花してたったの三日で満開を迎えたと言い、これは新記録だそうな。そんなに一気に満開になってくれなくても・・・。その上いかに見ごろとは言え土曜日、日曜日じゃん。混雑は避けられない。さて、どうする?
11日に花見山? 12日に白石川? でも10日朝に出発して夕方の到着なら金曜日だし、高速道路料金が1000円にならないじゃん。ならば夜行か? う〜ん・・・。
「うちは横で寝ているだけやし、夜行でもええで〜。せやけど、あんたは大丈夫なん?」
鎌先温泉は宮城県白石市だから花見山は行く道中でわざわざ戻る必要もなく好都合ではあるが・・・。
でもね〜、ここは私のことより貴女の体の方が心配なのです。
しばらく悩んだが、本人がそう言うのならば・・・。
「少しでも調子が悪るなったら言うように。すぐに引き返すから。」
との約束で10日の金曜日、午後7時の出発に急きょ変更。バタバタバタバタ、ウロウロウロウロ。これでは出発する前に疲れてしまうじゃん。
期待半分、不安半分の心境でハンドルを握り、午後8時、瀬田東インターチェンジのETCを通過した。さて、今回もどのような珍道中になりますか・・・。
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